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1 キスの味 ページ2

Aside


「キスってどんな味なんだろうね〜」

「あはは、味とかあるの?」


ランチタイム、クラスの子たちと一緒に話ながら食事をしていた。
私と友達二人で机を三角にしお昼を過ごしている。
もの凄く仲が良い訳でもなく、私は目の前で繰り広げられている会話をゆっくりと聞く。
基本聞き手、話し手は得意じゃない。


「ねぇ、Aちゃんはどう思う?」


このタイミングで話をふられるとは思ってもいなかった。


「味かぁ、人によって違うんじゃない?」


苦し紛れに答える、精一杯の答えだった。


「えぇ、何それなんかヤダなあ」


折角答えたのに拒否された。
人によって感じ方は違うし味も変わるのではと私は思うのだけどなぁ。

また二人が他の話題について話し出したからそれをまた聞き始める。
私は手に握りしめた菓子パンを口に運ぶ。

たわいもない日常だった。





………私はキスの味を知っている。
でもこんなのまともに答えることが出来ない。

話せるもんなら話してみたい。
けれどどう頑張っても無理だ、彼のキスはいろんな味があるんだ。





「Aさんいる?」


私の教室の扉から彼は顔を出した。
私のクラスメイトに優しく話しかけていた。

竈門炭治郎。
この学年ではかなりの有名人物。
誰に対しても優しくて勉強も交友関係も良く、先生からの評判は最高。
そんな彼は周りから優等生なんて呼ばれていたりもする。

菓子パンを食べている私に気づくとこっちへ来てと手招きされる。
私は席を立ち、炭治郎の元へ行った。


「今、暇…?」

「どうしたの?」


炭治郎とは恋人の関係。
私が気になって時々視線を送っていたら
向こうから告白されたというなんとも嬉しい展開で付き合い始めている。

もちろん、私は炭治郎の全てに惚れこんでいて自慢の彼氏だ。
でも私たちの関係を知っている人はほぼいない。

炭治郎は私の手を引いて階段を上り私を屋上の方へ連れて行った。
屋上は開いておらず、屋上への扉の前まで連れて行かれる。


「屋上は人気のお弁当スポットだし解放されてないこの日ならこの近くに人はいないと思って」


いい場所が見つかってにんまりと笑う炭治郎。

可愛いななんて呑気に思っていたら、するすると炭治郎の手が私に伸びていた。


「唇、寂しかったんだ」

「昨日も放課後したと思うんだけどなぁ…」


まんざらでもない私はゆっくりと炭治郎のペースを窺う。
そして炭治郎は手馴れたように唇を重ねる。

キスは日常茶飯事。

2 屋上の扉前→←登場人物設定



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シノブ(プロフ) - ヤバイヤバイめっちゃドキドキしました!!ドキドキをくれてありがとうございます<(_ _)> (2022年4月9日 9時) (レス) @page42 id: 1ffddb9be4 (このIDを非表示/違反報告)
ふわむにゃ(プロフ) - ぽぽぽぽぽさん» コメントありがとうございます!甘い炭治郎が書けて良かったです! (2020年5月22日 9時) (レス) id: a6eb1143e2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽぽぽ - ごはぁ!(炭治郎にやられた音)面白いです! (2020年5月7日 12時) (レス) id: 7a7fe6581f (このIDを非表示/違反報告)
ふわむにゃ(プロフ) - ロゼオさん» わ〜!ありがとうございます!!また書きます!更新頑張りたいと思います、感謝です…!! (2020年4月1日 18時) (レス) id: a6eb1143e2 (このIDを非表示/違反報告)
ロゼオ(プロフ) - とても面白かったです!こんな感じのちょい甘が好きなのでまた書いてくれると嬉しいです!煉獄さんの小説の更新頑張って下さい! (2020年4月1日 15時) (レス) id: dea7ecbd36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふわむにゃ | 作成日時:2020年1月20日 0時

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