第６章 たえまなく過去へ押し戻されながら ページ8
彼女は朝を得意としない。
基本的に浅い睡眠なのだが、それが如何だ。
今日は早く起きられて気持ちの良い朝として受け取られた。
「きょうはよいひに なりそう」
と言ったのも束の間。
「やあ、おはよう」
聞き覚えのある声、しかし聞き覚えがあったとしても朝早くに聞く声では無かった。
「な、なんで！？」
朝早くに身構えて太宰を睨む。
「何故って…此処、私の部屋だよ」
「へっ…？」
そこで彼女は辺りを見渡した。
所々に酒瓶と蟹缶のゴミ、そして布団も一つだった。
「………しゅくはくひは、いくらですか…」
「朝ご飯で許してあげる」
「……わかりました。とりあえず、れいぞうこを みさせてください」
不安を覚える彼女だったが、不安は見事に命中する。
「たまごもない。こめもない。なんだこのヘヤ。たべるイシがみあたらない」
「ごめんねぇ。棚に蟹缶ならあるよぉ」
「……ちょっとまってて」
携帯で取り敢えず調べると、蟹缶を使った料理がワンサカと出てきた。
しかし重要な蟹缶はあれど、蟹缶だけしか無いので結果として調べた意味は皆無だった。
「ダザイさんはいえでたいきしてて」
絶対に出て行くなという強い視線を受けて、太宰ははいはいと軽く受け流す。
太宰宅から出ると敦宅へ行き、料理のお裾分けを貰おうとした。
「にぃに〜〜。Aだよぉ〜。おきてるか〜い？」
コンコンとノックしてガチャリと中から鍵が開けられた音がした。
「誰？」
そこから現れたのは敦では無かった。
「………なんでココにいるの」
現れた紅い着物を纏った少女…泉鏡花に視線を落とすA。
その瞳には嫌悪も含まれていた。
「指示だから」
「……しょうだくした おぼえはない」
「何の用事？あの人は未だ寝てる」
「いっとくけど、わたしもココにすんでるからね。あさごはんはつくった？」
「もう作った」
今は朝の５時半。
少し地面が明るくなってくる時間帯だ。
てっきり未だ作ってないと高を括っていたが、矢張り見た目と共にしっかりとしており少し落ち込んだ……いやかなり落ち込んだ。
「きのうはダザイさんのところでとまったから、少しおすそわけしても？」
「あの人の所で作れば良い」
「そうしたいのは、やまやまだった。ごはんと、おみそしるだけでもいいから」
そう言って鏡花は暫し考え入室を許可したが、Aは納得のいかない顔をしていた。
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ほんばし(プロフ) - エレンNo2さん» コメントありがとうございます。面白いと言ってくださり、ありがとうございます。自己満足で書いている作品ではありますが、そう言ってもらえるととても嬉しいです。ありがとうございます！ (2023年1月11日 17時) (
レス) id: cf71fd7287 (このIDを非表示/違反報告)
エレンNo2 - 僕…文豪ストレイドッグス大好きなんですけど、すっごいおもしろかったです！ (2023年1月11日 16時) (レス) @page2 id: 84c79903b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほんばし | 作成日時：2020年1月14日 21時
