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ゆびきりげんまん ページ5

小指を絡ませると太宰は「約束事」についての説明を始めた。



「取り敢えず約束事としては一つ。組合(ギルド)を見つけたとしても戦わずに逃げてくれ」

「へっ?どうして?」

「……組合(ギルド)は君が思っているより遥かに強大な敵だ。今の君にとってマフィアなんかより自分の憤りを降したい相手だろう」



彼女は太宰の言葉に無垢な顔でコクコクと頷いた。



「だが、此れは敦君に振り掛けられた喧嘩だ。この事案は敦君が解決しなきゃ意味が無い。君はこの事案には無関係だ」

「……いちりある」

「だから君の敦君に対する想いも理解できるし、敦君を想うが余りに手を降したい気持ちも判る。だが其れは獣の所業だ。その先には何も残らない」



目をパチパチと瞬きして、少し暗い面影を落とした。



「そう、なの?」

「うん。誰も何も得しない。デメリットだらけだ、敦君の敵を増やしたいって気持ちなら別に構いやしないけど」

「そ、れは…」



少し歯に噛んだ顔になって目を逸らした。



「君が一番何よりも嫌う敦君(にぃに)を更に危険に晒す行為を今、一番しそうなのは君なんだ。だからこそ、ジッと待ってて欲しい。何もしなくても、敦君の帰りを待つんだ」



太宰の言葉に心当たりがあり過ぎて聞き入れてしまう。



彼女はその言葉に納得を示して小指を固く結んだ。



「わかった。ギルドを ほふるのはにぃに。わたしは、わたしにできることをする」

「うん、その方が良い。君は『自分が思ってるよりずっと、弱いんだから』」



その言葉に目を見開くA。



聞き覚えがあった。



ペルシャ絨毯より艶やかな紅い水溜り、置き物に人が置かれてる。



その一人は___。



「せんせー……?」



頭を抱えて呟く名前。



断片的な記憶が、今脳裏に蘇る。



「やだ、やだ。……おいてかないで。……ひとりにしないで。……もう、へやのなかで。しかばねのように………すごすのは………もうヤダ。…………わたしはまだ、しんでない……。シンデナイ……!!」

「Aちゃん!」



彼女の目から流れる血涙に、太宰は慎重に彼女を包み込んだ。



「ごめんね。ひとりにして ごめんなさい…」

「Aちゃん…」



太宰の膝の上で静かに呟いた後に、落ち着いたのか呼吸が正常に戻り鳥肌が立った。



その間に太宰は落ち着きを取り戻す為に、只管彼女の背中をサスサスと摩っていた。

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ほんばし(プロフ) - エレンNo2さん» コメントありがとうございます。面白いと言ってくださり、ありがとうございます。自己満足で書いている作品ではありますが、そう言ってもらえるととても嬉しいです。ありがとうございます! (2023年1月11日 17時) (レス) id: cf71fd7287 (このIDを非表示/違反報告)
エレンNo2 - 僕…文豪ストレイドッグス大好きなんですけど、すっごいおもしろかったです! (2023年1月11日 16時) (レス) @page2 id: 84c79903b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほんばし | 作成日時:2020年1月14日 21時

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