不満の鏡花とお土産のおはぎ ページ24
鏡花が駆け出した頃には、引き留めようとしていた敦も鏡花を見送る事しか出来ずその場に立ち竦んでしまう。
その数分後に停電が起きた。
「………まさか、鏡花ちゃん…じゃない…よね?」
じりり、と鳴り出す警報音と駆け出す警備員。
その頃鏡花は警備員に
「ぎゃああああああああ!!!」
ビリビリと悲鳴、誰かが痺れる音がしてガタンと大きな音を立てると鏡花は茶色い封筒を差し出した。
「お届け物です」
暫くして、電力が戻り明かりが付くと写真に写っていた判事が泡を拭いて倒れていた。
「……あっ」
やってしまった、そんな内心と共に溢れる声。
めっちゃ怒られた。
「はい」
或る公園のベンチで、大人しく反省した顔で座る彼女にクレープを差し出す敦。
鏡花も其れを受け取り口に含んだ。
「社長が話を付けてくれたよ。判事さんの御友人だって」
「……停電までは良かったのに」
「そこまではアリなんだ…」
流石、と言おうとした所で止めた。
今の鏡花を逆撫でする行為に当たるからだ。
「その電話…未だ捨ててなかったんだね」
鏡花の首から下げた携帯に話をすり替えると鏡花は胸元の携帯をギュッと握り締めた。
「業者に
鏡花は敦が持っているもう一つの物に着目した。
竹筒に包まれた、平たいものだった。
「おはぎ。少しでも元気になるように」
「そう……。貴方とあの人はどんな関係なの?」
「……僕と一緒の孤児院だった。それだけしか覚えていない。僕が追い出された時に一緒に追い出されて、それが出逢いだった」
「……あの人は、如何してあんな中途半端な髪型なの?」
「ちゅ、中途半端って…。前に僕にも同じ様な事聞いたよね?」
「前から見たら短いのに、横を見た時に髪が長かったから凄く驚いた。あと口調が子供っぽい」
「……Aは記憶喪失なんだ。覚えているのは自分の名前だけ。自分が何者でどんな生涯を送ってきたのかも判らないって言ってた」
鏡花は此処で始めて、彼女が記憶喪失だという事を聞いた。
過去に自分と会話した記憶では彼女が子供っぽく大人っぽいのに妙な感じがして気持ちが悪かった。
鏡花が彼女に対して持ち合わせていた感情は「気持ち悪い」だったから。
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ほんばし(プロフ) - エレンNo2さん» コメントありがとうございます。面白いと言ってくださり、ありがとうございます。自己満足で書いている作品ではありますが、そう言ってもらえるととても嬉しいです。ありがとうございます! (2023年1月11日 17時) (レス) id: cf71fd7287 (このIDを非表示/違反報告)
エレンNo2 - 僕…文豪ストレイドッグス大好きなんですけど、すっごいおもしろかったです! (2023年1月11日 16時) (レス) @page2 id: 84c79903b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほんばし | 作成日時:2020年1月14日 21時