或る招宴 伍 ページ17
「うわあ!」
会場に足を踏み入れた敦は、感嘆の声を漏らす。立食形式らしく、広間内には幾つかの卓が設置されその上には豪勢な料理が煌びやかに主張している。豪奢に着飾った参加者達は各々談笑や食事に興じており、
其処でふと横を向けば、アーサーと小林氏の目が敦を見つめていた。
「あっ……す、すみません!!」
依頼で来ているのに、はしゃいでしまった。顔を赤くしながら反省していれば、小林氏は、クスクス笑って、「構いませんよ。」と云う。
「其れでは、主催者の方へ挨拶へ行きましょうか。」
小林氏は、「あの方ですよ」と一人の男を指差す。恰幅の良い男性だ。歳の頃は、小林氏より幾らか若いだろうか。妙に存在感が有り、今も気前の良さそうな笑顔を浮かべて何やら会話を交わしている。
「
「っ!」
敦は、息を飲んだ。つまりその澤田氏とやらは、横浜の事を“知っている”のだ。
「そう云えば、どういった経緯で我が社に依頼なさったですか?」
アーサーが問うと、小林氏は声を潜めて答える。
「ーーこのパーティーへの出席を澤田氏にお伝えしてから、妙な事が増えたんです。自宅付近に怪しげな人物がいたり、明らかな盗撮写真がメールで送られてきたり……終いには、脅迫めいた文書まで送られてきました。」
「脅迫……」
「はい。そうしたら今度は澤田氏より連絡がありまして、『貴方をパーティーに参加させるなという脅迫文が届いたが何か可笑しな事はないか』という趣旨の連絡でした。それで私も状況をご説明したところ、澤田氏の方から、護衛をつけてみてはという提案があったのです。」
「それで、我が社に連絡なさったです?」
「ええ。」
「それからは、如何です? 妙な事、は未だ続いているですか?」
アーサーの問いに、小林氏は少し考える素振りを見せた後、首を振った。
「そう、ちょうどあなた方とお会いした日くらいからですね。その頃からここ数日間、そう言った事は目に見えて減りました。昨日なんて殆ど何も有りませんでした。」
ふむ、と今度はアーサー考え込む。
その間にも、三人と澤田氏との距離は縮まって来ていた。
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美園(プロフ) - 今日はじめて見ましたがとても惹き込まれました! (12月24日 19時) (レス) id: 69d991c9f1 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 大好きな作品です…! (6月29日 17時) (レス) @page1 id: 7b1be7f011 (このIDを非表示/違反報告)
むる - え!?!?!?!更新なくて残念です泣泣泣めっっっちゃくちゃ気になります………すごく読みやすくて設定も凝っててめちゃめちゃ良かったです。 (2022年8月14日 2時) (レス) id: 6ed738b467 (このIDを非表示/違反報告)
ししゃも(プロフ) - 続きが凄く読みたいです。更新お願いします! (2022年7月27日 8時) (レス) @page43 id: 4d9c9f1a17 (このIDを非表示/違反報告)
舞琴(プロフ) - めちゃ続きが読みたいですっ!!!!更新待ってます!!!!!! (2022年4月23日 23時) (レス) id: 6e4f314873 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菫色 | 作成日時:2018年4月29日 20時