【d!】いつか、友達だったきみ【sha】

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思ったよりも返事はすぐに帰ってきた。「宝探しと隠れ鬼にしたよ」という簡潔な文と可愛らしい犬のスタンプ。あぁ、違和感。
偶然にもどちらのレクも被っていたため、自分のくじ運の良さに拍手したい。…何で、喜んでんねやろ。

「何ニヤニヤしとん？」
「……え、しとった？」
「どーせスケベなこと考えてたんやろ」
「ふざけんなお前じゃあるまいし」
「考えてへんわ！」

自覚のない高揚は顔にも現れていたらしくロボロに指摘されてしまい、誤魔化すようにちょけた。
そういえば、昔から犬好きやったなぁ。近所の外飼の犬を2人で撫でに行った記憶が蘇る。大きい犬は怖いらしく、俺の背中に隠れて震えとったのをよく覚えている。

変わらへん所もあんねや、と安堵感に包まれた。……俺は、あいつの何を見てるんやろう。

俺は、過去を通さなあいつを見られへんのかな。



仮入部期間が終わり、部活が本入部に変わった。とはいえまだユニフォームは持っていないため、今日も早い段階で解散してしまった。
イヤホンを付けて駅まで歩く。帰宅ラッシュに重なる時間の駅は人混みで溢れ、ホームにも長蛇の列が並んでいた。

これに乗るん嫌やなぁと思わず顔を顰めると、列の先頭側にAの後ろ姿を見つけた。iPhoneを見ているのか頭の位置は少し下がり、フリックをする度に肩が小刻みに揺れていた。

流されるように車内に押し込められ、何とか自分のスペースを確保する。息苦しい中顔を上げると、斜め前で扉に押し付けられているAを見つけた。鞄を抱き抱えて耐えてはいるものの、眉を顰めてしんどそうに丸まっていた。

その様子を見てどこか放っておけなくて、すみません、と小さく声をかけながら人を掻き分けてAの後ろに経つ。肩を叩くと驚いたような顔をして振り向いた。

『しゃ、シャオちゃん……びっくりした……』
「おう。大丈夫か？」
『息出来ないかと思った…ありがとう……』

あんなけ男子とも喧嘩しまくっとったのに随分としおらしくなったもんやな、と揶揄うとAは困ったように「それは忘れてよ」と口にした。
電車が発車する瞬間、慌てて駆け込み乗車してきた人達によって更に扉側に押され、勢いでAの頭上に手を着く。

背中にぐいぐいと圧力がかかる。わざとやってんちゃうかって程に肘で押され、また数センチAに身体を詰める。行き場を失った俺の片足がAの足の間に入ってしまい、Aがびくりと震えた。

あ、待って。これあかんわ。

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