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足早に辿り着いたAの家。以前の一軒家とは違って小さなアパートの一角。インターホンを押すと、中からパタパタと軽い足音が聞こえ、かちゃりとシリンダーの奥が鳴り扉が開いた。
そこに立っていたのは「マジで来たんかコイツ」とでも言いたげなAで、無言で扉をじりじりと開けた。
お邪魔します、と声をかけると奥のリビングから出てきたのはAのオカンで、俺の顔を見た途端高らかな声を上げて大袈裟にリアクションを取った。
「えっ、ほんとにシャオロンくん！？随分かっこよくなったわねー！元気してた！？」
「お久しぶりです、相変わらずお綺麗で」
「そんなこと言うような歳になっちゃったのー！ちょっとA！アンタ何でもっと早く家に呼ばなかったのよ！！」
『うるさいな！シャオちゃんも早く入って！暑い！』
「何で俺が怒られてんねん……」
この歳になって見返すとAはどうやら母親似らしく顔立ちがそっくりやった。Aに促されて自室に通されると、視界に入るのはシンプルなベッドに、勉強机と洋服タンス。あとは開かれていないダンボールが幾つか。想像していた女の子らしい部屋とは遠くかけ離れていたけど、部屋に漂う匂いがAのものやった。
「はぇ〜、引越し3日目かって」
『いや、だからその……また、引っ越すかなー……って……』
しどろもどろに話したAは必死に俺から視線を逸らしながらダンボールを見つめた。あぁ、もう、こいつは。
片手で収まる小さな顔を掴むとAはひぇ、と小さな声を上げた。
「……また、ねぇ？」
『ちあうんふよ、はなひて』
「何言うとうか分からんわ」
掴まれた小さな顔が必死に抵抗するも、俺の片手分の力にすら及ばずただ頬の肉が遊ばれるだけ。まだか、まだ分からへんのか。
吸い寄せられるように唇に向かった刹那、扉がノックされて我に返った。
「シャオロンくんうちでご飯食べてったら？」
「え、いいんすか」
「勿論！久しぶりに会えたんだもの、ゆっくりしていってね」
「じゃあお言葉に甘えて頂きます」
「私今からシャオロンくんのお母さんと久しぶりに飲みに行ってくるから、泊まりたかったら泊まっていいよ〜」
楽しげに部屋を出てったAのお母さんはいつの間に取り付けたのか俺のオカンと飲みに行く支度を始めた。息を吐いて向き直ると、顔を真っ赤にして固まったまま動かないAがいた。だからなんも喋らんかったんか。
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悠亜です。企画に参加させて頂きました。
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悠亜(プロフ) - すずらんさん» コメントありがとうございます！有難いお言葉光栄です……あまり派手な話ではないですがこの後もいろいろと2人の心境に変化が現れますのでそちらも是非見て頂けたら嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年2月28日 9時) (
レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - 何から言ったら良いのかわからなくて乱文になってしまうのですがコメント失礼します。好きです。心理描写がとても繊細で手に取るように分かりやすくて好きです。応援させてください… (2020年2月27日 9時) (レス) id: 14859b81d2 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - ユヅルさん» 前作からありがとうございます！前作との差分化を図るのが難しいですが、こちらもこちらで楽しんで頂けると幸いです！ありがとうございます！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - さいさん» コメントありがとうございます！中々微妙な距離感ですが、どう近付いていくんですかね。私にも分かりません。嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます！気長にお待ちください！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
ユヅル(プロフ) - わああああ！！前の作品も見させていただいてました…！！！相変わらずの文才…ほんとに尊敬します…！！更新頑張ってください！！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: 0f65930547 (このIDを非表示/違反報告)
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