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各々割り振られた宿泊室に入り、荷物を置いて小体育館に向かう。一学年分の生徒がすっぽり入る小体育館は良くいえば味のある、悪く言えば古臭い雰囲気があった。
天井の端には蜘蛛の巣が広々と巣食い、梁と壁は所々補強の残痕が見られる。少し埃臭いこの場所を女子生徒が小声で悪口を叩いていた。
「では1回目のレクを始めるので、ジャージに着替えてからそれぞれの集会場所に集まってください」
学年主任の気怠げな声に負けないくらい怠そうに生徒達が重い腰を上げて散らばっていく。最初のレクは宝探しやったか。同じ野球部の友人とロボロと集合場所に向かう。ほんまはロッククライミングとかがやりたかってんけど、如何せんジャンケンにボロ負けした。
少し離れた場所に、髪を緩く結ったAの姿を見つける。数人の女子生徒と集まって談笑している姿を見て、新鮮な気持ちに陥る。
「(……女子と話しとうとこ、あんま見たこと無かったな)」
「──ロン、シャオロン！」
「っぅえ、あい、はい、何、なんすか」
「お前誰見てたんだよ〜！可愛い子居るなら教えろって言ってんだろ！」
「ちゃうわボケ！」
「まぁ、Aちゃんやろうなぁ」
「え？誰？誰？彼女？」
「あﾞっ、クソチビてめぇ！やめろ！見てへんわ！」
男同士のくだらない茶化しあいが始まり、先生に注意される始末。ちゃんとルールも聞かずに始まった宝探しはひたすらに男だけでちょけあっては怒られを繰り返すレクになった。
先生が森に隠した箱を見つけ、中に入っていたヒントの紙を辿って次の箱を見つけるという単純明快なゲームながらも、思ったより難易度は高かった。
次の行先が分からず、途中で拾った長い木の枝で辺りをばしばしとシバきながら適当に歩く様は、大して小学生から変わらへんなと思った。これやから男はアホや。アホやからこそ楽しいねんけど。
「あ、小森ちゃんだ。やっぱ可愛いなぁ」
「誰？」
「学一で可愛いって言われてる子。ほら、あそこに立ってる髪長い子」
「俺視力悪いから全然見えへんわ」
「お前はチビだから見えないんだろ。シャオロンってそういうの詳しいと思ってたけど意外と疎いんだな」
友人が顎で指し示した方向に顔を向けると、数人の女子グループが紙と地図を広げて悩んでいる様子やった。その中の1人に、Aが居た。
「な、可愛いだろ」
「……せやな」
小森って人が誰の事をを指しているのかは、分からなかった。
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悠亜(プロフ) - すずらんさん» コメントありがとうございます！有難いお言葉光栄です……あまり派手な話ではないですがこの後もいろいろと2人の心境に変化が現れますのでそちらも是非見て頂けたら嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年2月28日 9時) (
レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - 何から言ったら良いのかわからなくて乱文になってしまうのですがコメント失礼します。好きです。心理描写がとても繊細で手に取るように分かりやすくて好きです。応援させてください… (2020年2月27日 9時) (レス) id: 14859b81d2 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - ユヅルさん» 前作からありがとうございます！前作との差分化を図るのが難しいですが、こちらもこちらで楽しんで頂けると幸いです！ありがとうございます！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - さいさん» コメントありがとうございます！中々微妙な距離感ですが、どう近付いていくんですかね。私にも分かりません。嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます！気長にお待ちください！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
ユヅル(プロフ) - わああああ！！前の作品も見させていただいてました…！！！相変わらずの文才…ほんとに尊敬します…！！更新頑張ってください！！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: 0f65930547 (このIDを非表示/違反報告)
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