25.にのみや荘へようこそ/N ページ26
｢ねぇねぇ、翔ちゃん達｡
これからどうすんの？
せっかく友達になったんだし、なんならここで一緒に暮さない？｣
｢わっ!!｣
皿洗いながら相バカの発言を背中で聞いたオレは、思わずがちゃんと皿を落とした｡
｢ア…イッテ……｣
指先にまぁるい真っ赤な滴が乗るといつ隣に立ったのか
智がソッコーでオレの指を口に含む｡
｢だからやめろって言ってんだろ!?
オモクソ気持ち悪いんだよ!!｣
頭張り倒してやったのに｡
ぺろりと赤い舌で唇を舐める智は至って上機嫌｡
｢んふふ、ニノの血は格別だよねぇ｡
カレーより美味いもん｡｣
オレの怒りなんて全く意に介してない｡
｢オレは絶対ヤだかんな!!
四六時中潤君につけ狙われるんじゃ、いくらなんでも気の休まる時もねぇし!!｣
｢あぁ…それは心配ねぇよ｡｣
潤君はふるふると首を振ると、智をビシッと指差した｡
｢いいか、智!!
俺は絶対お前に勝つ!!
そんでニノを手に入れて百鬼夜行を成功させる!!
お前なんかに…、お前なんかに…
ゼッテー負けないかんな!!!｣
………プッ｡
潤君ってば｡
三角お耳をふにゃんって倒して尻尾もお尻の下に隠しちゃってさ｡
翔さんの背中に隠れながら、
智に啖呵切ってる姿がめっちゃ可愛いんだけど｡
｢あはははっ、…ったく｡
しょうがないなぁ…｡
家賃はきっちり払って貰うからね？
丁度二部屋空いてるから自由に使っていいよ｡｣
｢えっ？ホント？
いいの？
俺、引っ越してきていいの？｣
パタパタ、フリフリ｡
うっわ、マジ超癒される｡
やっぱ潤君の尻尾って神萌えだワ｡
｢その代わり襲わないでね？｣
｢あぁ!!
ゼッテー智に勝つまでは指一本ニノには手ェ出さねぇ!!
やったぁ!!
初、ＭＹ部屋ＧＥＴ!!｣
｢……翔ちゃん｡
なにも泣かなくても｡｣
｢そうだよ〜｡
潤君よく今まで翔君と相部屋で過ごしてくれたよ｡
親孝行な子じゃん？
フツーは嫌がるよ？
あのくらいのお年頃の子は｡｣
意気消沈の翔さんのなで肩を擦って、苦笑交じりに智と相葉さんが慰めてる｡
・
まぁ、悪い奴らじゃないことは確かだし｡
みんなフツーじゃないけど｡
今までだって智と相葉さんとオレ、やってこれたもんな｡
なんとかならないこともない｡
じいちゃんが遺してくれたこの家で
オレが始めたおんぼろ下宿のにのみや荘｡
ここには大分風変わりで、気のいい奴らが住んでいる｡
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作者名：あさり
作成日時：2014年6月17日 23時
