22.おまじないの効果/N ページ23
｢俺、物の怪達を引き連れて、百鬼夜行ってヤツをやってみたいんだ｡｣
｢百鬼夜行？｣
聞いた事ある単語ではあるけど、
あんまり耳慣れない言葉に首を捻ったオレに翔さんが笑いかける｡
｢ホラ、伝奇モノなんか読むと時たま出てこないか？
夜の京都の街を闊歩する妖怪達の群れ｡
人間はソイツに遭うと、死んじまうって伝説まであるヤツ｡
時々、平安時代の話でも勇敢な男が百鬼夜行に出くわして、持ってた刀で見事妖怪達の群れを成敗した…みたいなさ｡
おれ達物の怪は誰にも縛られない、自由が好きなんだ｡
だから他の物の怪達を引き連れて百鬼夜行をするってことは、少なくてもそいつら全員の頂点に立たなきゃいけない｡
とにかく強くなきゃダメ｡｣
｢だから潤君はオレを狙ったってワケ？｣
オレよりおっきな体を小さく丸めて、潤君は申し訳なさそうにこくりと頷いた｡
｢とにかく強くなきゃダメだから…
俺、ニノを食って妖力をあげなきゃって……
それしか…考えられなくて……｣
つまりオレは物の怪達にとって
他に並ぶものがないほどのレアな食糧ってこと？
じゃあもしかして……
｢オレはこの先…潤君じゃない別の物の怪にも襲われるってこと？
ってか、そんなレアな食い物だったんなら、なんで今まで襲われずに済んだの？｣
｢……大ちゃんのおかげさ｡｣
翔さんの次にカレーを食べ終えた相葉さんが、コクンと一口冷水を煽る｡
コップの中の氷が、カランと小気味のいい音を立てた｡
｢さっきも言ったけど、大ちゃんは鞍馬山に住む大天狗様が跡目にと望む烏天狗｡
その烏天狗がニノの守護者になって、自分のモンだってアピッてるんだもん｡
いくらニノが
｢へっ…？
アピッてるって？
智、別に四六時中オレにべったりくっついてるワケでもないし…｣
意味が分からなくて腕組みしたオレに、相葉さんは指差した｡
｢……“おまじない”
どんなにニノちゃんが嫌がっても、大ちゃん毎朝首筋にちゅうしてるでしょ？｣
｢はぁ!?あれが!?｣
｢そ♪
毎朝かかさず悪い虫がつかないように、大ちゃんがニノちゃんにおまじないしてるから、他の物の怪達がビビッて近付いてこないんだよ｡
あれはマジで、“悪い虫がつかなくなるおまじない”なんだよ？｣
オレは幸せそうにカレーをもぐもぐしてる、智に視線を合わせた｡
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作者名：あさり
作成日時：2014年6月17日 23時
