百四十二つ葉 ページ5
「ご、ごめん……」
「す、すみません！」
再度確りと抑えようとするが尚も響く痛いという強い訴えの声に、どうにも立香もマシュも慣れていないゆえかぎこちない。
このままだと、ナイチンゲールの怒りに再び触れることになりかねない。
同じことを思ったのだろう、エウェルとジェロニモは互い目線が合うと頷き合い、ジェロニモが二人に声を掛けた。
「難しそうならば私と姫君で彼の四肢を抑えておくので、君達は彼の手を握ってやったり気を紛らわしてやってはどうだろうか」
「是非とも頼む！ 妻以外の女性の手を掴むのは憚れるが、正直痛すぎて何かに掴まっていないと舌を噛みそうだ！ あいたたたたッ……！」
「……本来ならば親しくない相手に淑女の手は握らせるような真似はさせたくないのですが、立香様の手を握らせた場合立香様の手が粉砕骨折し兼ねません。なので盾のお嬢さんが彼の手を握っていただけないでしょうか」
頷く二人に、エウェルもジェロニモも元々抑えていた腕や脚に加えてもう一本ずつ腕や脚をそれぞれ押さえる。
筋力がＣランクもあるジェロニモは安定して押さえられているのは当たり前。
筋力がＥランクしかないエウェルはやや心許無いがそれでも確りと押さえられていた。
だが、もし、押さえ付けている相手が本気でエウェルもジェロニモも退かそうと動けば簡単に退かすぐらいの筋力のランクを持っているのだが、己のためにしてくれているとわかっているためか本気で暴れることがないように自分を律していた。
エウェルが押さえる両手の内、右手の方をマシュはおずおずと握った。
治療を進めている最中ゆえに会話をしていてもやはり痛みの声は上がっている。
余りにも痛がるゆえに立香はエウェルに以前自身に掛けてくれたことがある魔術をかけて上げられないかと提案をするが、エウェルは首を横に振るう。
「あれはキャスターだったためにできたことです。しかし、今の私のクラスはアサシン。元より、私はルーン魔術を使えないのですよ」
「じゃあ……」
どうしてあの時使えたの？ という疑問はナイチンゲールの嘆きによって打ち消された。
「あぁ救えない！ こんなにも彼は生きたいと言っているのに！」
「君でも難しいか……」
やはり、とエウェルはなる。
一度
ましてや心臓を貫かれているとなれば、死の匂いは一層濃くなる。
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翔べないペンギン(プロフ) - 灰かぶりさん» コメント及び応援ありがとうございます。この辺りの話を確りと考えていなかったためにかなりスローペースでの更新になりますが、気長にお待ちいただけると非常に嬉しいです。灰かぶり様も最近寒暖差が大きいですのでお身体をご自愛ください。 (2023年2月8日 18時) (
レス) id: 59a8ce4908 (このIDを非表示/違反報告)
灰かぶり(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました。言葉遣いが丁寧で、読んでいてとてもわくわくしました！Fate関連の作品は少ないですが、これからも楽しみにしております。お身体にお気をつけて。応援しております！ (2023年2月8日 10時) (レス) @page17 id: 54c03ac678 (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - 夢プリンさん» 前回に続き今回もコメントをありがとうございます。御存知でしたか。仰るとおり、クー・フーリンの結婚のお話っぽくしております。自己解釈・捏造・御都合なんでもこいな展開になりつつあるうえ更新もまばらになると思いますが、完結までお付き合いいただけると幸いです (2022年11月14日 18時) (レス) id: 05fbcee79b (このIDを非表示/違反報告)
夢プリン(プロフ) - うわあぁぁ！！クー・フーリンの結婚ですね！めっちゃ好きです！！ (2022年11月14日 12時) (レス) @page15 id: 0c2c417461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翔べないペンギン | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時：2022年8月28日 0時
