二十六つ葉 ページ28
氷の塊を紙一重で横に避け、仕返しと言うように清姫は口から火を吐き出す。
「ーー……」
杖でいなしながらキャスターも炎の塊を清姫へと放った。
その様を、安全なところから眺めていた立香は目を剥いて二人の戦いを見ている。
間近で見るのと上から見るのとではまた見える景色も違うのだ。
「んじゃあそろそろ嬢ちゃん、準備しな」
「え?」
同様にキャスターと清姫の戦闘を眺めていたランサーは立香の隣で食い入るように見ているマシュに一つ声を掛けた。
「準備って、何の準備ですか?」
「そりゃあ戦闘の準備だ」
苛烈にお互いルーンによる魔術と火炎のぶつかり合いを尻目に見ながら呆れたように、ランサーは説明する。
曰く、キャスターは最初から自身が清姫に勝とうとは思ってもいないとのこと。
「これは嬢ちゃんの感情を優先させるためにやった、女のオレの変な気遣いによる茶番だ。だからバーサーカーに対して言ってなかっただろ? 一対一とかよ」
「でも、それはただの言葉遊びじゃないのでしょうか」
「な訳ねぇよ。動作の度に嬢ちゃんを見てんだから。女のオレは嬢ちゃんが来るを待ってやがる。そして嬢ちゃんを勝たせようとしている」
今こうして話している間もキャスターと清姫は戦っている。
一進一退の接線である。
だがしかし、完全回復していないキャスターが押され気味なのは確かであって。
「取られたくねぇなら、自分で勝ち取りな嬢ちゃん」
「……わかりました。先輩、準備してきますね」
目の色が少し変わったマシュは頷いた。
先輩と呼べる人を取られたくないのは、マシュにとってそれは事実なのだ。
立香に一言告げて部屋から出るマシュに、立香もじゃあ俺もと席を立つ。
「待っていないのかい?」
「マシュが戦うなら俺も一緒じゃないと」
問いを投げかけたロマニに対し立香はそう返し、先に行ったマシュを追い掛けるように退室した。
「……いい関係ですね、あの二人」
「経験不足だが、それはいずれ解決するだろう」
静観していたセイバーとアーチャーのその言葉にうんうんとロマニは頷く。
これから更なる困難に立ち向かうだろう、サーヴァントとの絆が必ず立香を強くするのだから。
「それで、ランサーとアーチャーはキャスターの意図にお気づきだったのですね」
不服そうなセイバーの問いには二人は是と告げる。
ランサーは、怪しんでいるとはいえ同じ名を語る者のため。
アーチャーは生前の勘、と告げておこうか。
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翔べないペンギン(プロフ) - ねこみや梓さん» 御指摘ありがとうございます。仰る通り陣地作成ですね、大変失礼いたしました。急ぎ訂正いたします。 (2019年10月18日 17時) (レス) id: f556686a0b (このIDを非表示/違反報告)
ねこみや梓(プロフ) - 設定のクラススキルのところ、陣地製作じゃなくて陣地作成じゃないですか? (2019年10月18日 17時) (レス) id: a8080232a4 (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - 山田さん» ご指摘ありがとうございます。確かに、おっしゃる通り一部以上の引用をしてしまっておりましたl。御不快にさせてしまい申し訳ありません。一度話全てを非公開にして話を練り直しいたします。 (2019年8月31日 14時) (レス) id: fa8482574b (このIDを非表示/違反報告)
山田 - FGOの二次創作ガイドラインに目を通していますか?一部引用を超えたシナリオの使用は禁止されています。 (2019年8月31日 13時) (レス) id: 2bb97616f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翔べないペンギン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時:2019年7月28日 19時