アイを伝えたい

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「 濱田さん、出かけませんか？ 」



実は、わたしが濱田さんの担当になれたのは1ヶ月の間だけ。
… つまり、今日が最後のカウンセリングの日。








「 … どうしても、見てもらいたいものがあるんです 」



" わたしのわがままに、付き合ってもらえませんか？"

と言うと小さく頷いた濱田さんを車に乗せ、
わたしが向かったのは病院から少し遠い公園。









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「 … ！ 」




わたしが彼に見せたかったのは、いちょうの並木道。
辺り一面にいちょうの葉っぱが広がるそこは、まるで黄金の絨毯のよう。



ふたりでその絨毯の上を、ゆっくり歩く。











「 … 綺麗ですね、 」

「 … おん 」




大きく表情が変わった訳ではないけれど、

時折顔を上げて景色を見渡す彼は
心なしか柔らかな表情をしているように見えた。









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濱田さんにとっては、のんちゃんと最後のセッションをした日以来の外。
当然、疲れも出てくる頃で。

隣で歩く彼の呼吸が乱れかけているのを感じて、





私たちは、ベンチに座って少し休憩することにした。

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