彼の主張 ページ6
思えば昨日、なんであいつがいたのかなんて全くもってどうでもよかった。
パツキン野郎と殴りあって、その後、痛む身体を引きずって寮まで戻っていたら、あいつは目の前に突然現れたんだ。
月明かりに暗い灰色の髪が光って
その長さから、女だってわかった。
一瞬幽霊でも出たのかと思った。
「居た」
まぁ喋るってことは幽霊じゃねェよな。
明かりも持ってない。なら見回りでもない。
「ンだテメェ……」
だいぶ気が立っていた。
だからそいつに投げられたものがガーゼだった時は驚いた。
だが見ず知らずのやつに渡されたそれに、どうしてか酷くムカついた記憶がある。
理由も分からないが、多分情けをかけられてるみたいでムカついたんだろう。
「もう1人は？」
バカにしてんのか
「俺に聞くか？」
今し方、ぶん殴ってきた帰りだよ
「一緒に居たんだろ？｣
「チッ………知らねえよ」
なんで俺が知ってると思ってるんだ。
とっとと置いて帰ってきてやったよ
そしたら、そいつは無理やり肩を貸してきて、部屋まで教えろとか言い出した。
何がしたいんだ？
俺に貸しを作りたいのか？
だがだいぶ雑なせいで、さっきの傷が痛む。
あんのパツキン野郎、顔面まで容赦なしだったしよ
部屋まで着いた後、そっからは大して覚えてない。
教場を聞いた記憶はあったが、正直かなり眠かった。
翌朝、外周を走ってる時にそいつは平然とした顔で横を走っていた。
「あ？テメー昨日の……」
「……」
無視だ。
背中の中頃までの長い髪をひとつにまとめ、
女子だというのに全くこちらと変わらない速さで駆けるそいつに、
どうしようもなくムカついた。
「新宮」
名前を聞いても、こちらを見ることなく苗字だけ答える。
なんだよ、こいつも大概ぶっきらぼうじゃねえか。
「お前にゃ負けねー」
「……はぁ？」
ようやく振り返ったその顔は、どこか気だるげで、
大きなオレンジの双眸が、じっとこちらを見つめた。
そしてその無表情は一瞬挑発するかのような笑みを浮かべる。
「はっ、負ける負けないだの言ってる暇あるなら、
その口動かすより足動かせば？」
「あ゛!?」
「だいたい私は、昨日のお前らの喧嘩の音で目が覚めてんの。
だのに当人は気にもしてないようだし」
余計なお世話だ。
そいつはこちらを突き放すように、さらに先へと駆けていく。
「あっ…おい!!」
なんなんだよこいつ、本当に気に食わねー
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しゃ〜け(プロフ) - 早桃さん» 早桃さん、コメントありがとうございます〜！！！面白行っていただけてもうめちゃくちゃ嬉しいです！！頑張って更新していくので、今後も是非よろしくお願いします〜！！ (2022年12月27日 1時) (
レス) id: 8454d3df8d (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - すっごい好きな作品です！面白い！これからも無理せずに更新頑張って下さいね！応援してますぅぅぅ！ (2022年12月26日 12時) (レス) @page37 id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゃ〜け | 作成日時：2022年12月19日 2時
