決心 ページ41
ボンネットの上を通り過ぎ、松田は滑り込むようにすぐ横を陣取った。
「ゼロ！お前はトラックの運転手を頼む！
んで？状況はどんな感じだ？」
「…留め具であるやつは全部外した！外したんだがまだ引っかかってるみたいで……！」
ここに来て焦りが酷くて、呼吸が浅くなる。
「もう車の作りなんて訳分かんねえよ…っ」
焦りと緊張感と、すぐ横にある体温との安心感とで、感情がいっぱいになってしまっていた。
声が震えるのを必死に抑える。
松田はボンネットの中を覗いて、中を確認している。
「……いや、これでいい。上出来だA！」
「…はぁ？」
思ってもなかった言葉に、間の抜けた声が出る。
それと同時に、松田の腕に腰周りをがっちりと掴まれた。
「あとはサイドブレーキだ！！目一杯引いてバンパーを引きちぎれ！！」
松田が叫んだかと思うと、ガゴンッという音と共に強い衝撃が身体を襲う。
「っぐ！」
縁を掴むと、ズキリと鈍い痛みが手のひらを抜けた。
「おい、大丈夫かよ」
「…っあーー、頭グラグラする……」
ボンネットから崩れるように降り立ち、ようやく触れた地面に、膝の力が抜けた。
もう二度と車なんて乗らない。二度と、というかしばらく乗らなくていい。
……そうだ、トラックは！？
一瞬だけ白くなった頭を、現実が引き戻す。
顔を上げると、途切れた道の先、踏み切って宙を舞うトラックとFD。
待て、あれにはゼロが乗って____
ひゅっ、と喉がなった気がした。
重たいその鉄の塊は
対岸の道ギリギリに激突、フロントガラスを粉砕し、ひっくり返りながらも、道路へと乗り移った。
「ぜ………ゼロ！」
ふらつく足で、少し先で立ちすくむ3人の元へ駆け寄る。
途切れた道の先、砕けたガラスを書き分けるように、運転手を担いだゼロが姿を見せた。
萩原がゼロとこちらにもグッドサインを向けているのが遠目でもわかって、一気に身体の緊張感が消える。
「………よ、かったあ…………」
へなへなと力なくその場に座り込んで、はは、と笑い声ともため息とも言えない声が出た。
「ほんと……無茶苦茶やるなぁ」
達成感というかなんというか。
いつもよりどこか晴れ晴れしい笑顔を見せる萩原達に、またつい笑いがこぼれた。
「ほんと、無茶ばっかし…………
いーよ、分かった。私が、君らのストッパーになってやる」
決めた、神様に誓うわ。
夕暮れに染る空を仰いで、誰に聞かれるでもなく呟いた決意は、涼やかな風に溶けていった。
「大丈夫？Aちゃん、立てそう？」
「……無理、腰抜けた」
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しゃ〜け(プロフ) - 早桃さん» 早桃さん、コメントありがとうございます〜！！！面白行っていただけてもうめちゃくちゃ嬉しいです！！頑張って更新していくので、今後も是非よろしくお願いします〜！！ (2022年12月27日 1時) (
レス) id: 8454d3df8d (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - すっごい好きな作品です！面白い！これからも無理せずに更新頑張って下さいね！応援してますぅぅぅ！ (2022年12月26日 12時) (レス) @page37 id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゃ〜け | 作成日時：2022年12月19日 2時
