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暴走の始まり ページ38

何か神妙な面持ちで、じっとバイク店を見つめるヒロ。

その真剣さは、私たち二人がほぼ真後ろに立っているのに気が付かないほどだ。

声をかけるのに臆していると、班長が私と同じ時のように、ヒロの肩に手を置いた。

「!!」

吃驚して振り返ったヒロは、2人を見て、ますます驚いた表情になった。

「悪いがつけさせてもらったぜ…
お前が尋常じゃねぇ顔で出かけてったから……」

「声かけようかとも思ったんだが…」

「だ、伊達班長!?それにAちゃんまで……」

着いてきてしまったことと、おどかしてしまったことに少し申し訳なさを感じながらも、気になって来てしまったということを伝える。

「何を調べにここへ来たかは知らねぇが、言いたくなきゃ言わなくても構わんよ

俺はそばで見てるだけ、邪魔はしねぇから」

たまに独り言を言うかもしれない、と付け加えた班長にヒロは呆れたような顔を見せた。が、フッと笑って

「…来ちゃったなら、しょうがないなぁ」

いつもの柔らかい表情に戻ったヒロに酷く安心した。

多分、私一人だけなら班長のようなフォローも口実も、きっといえなかった。
そもそも思いつきすらしなかったかもしれない。

(班長が居てくれて助かった)

恐らく、私が余計な口出しをするよりも、ヒロのことは班長に任せた方が良さそうだ。

「ヒロ、班長」

「ん?どうした新宮」

「私、ちょっと買うものがあるから……2人はしばらくここに?」

「ああ、俺は諸伏とここに居ると思うぞ」

「気をつけてね、Aちゃん」

「うん、じゃまた後で」

店の中に入っていく二人に軽く手を振り、斜向かいにある百貨店の方へ軽く走る。

平日午後ということもあり、まばらに散った客を横目に目的の場所を探す。

レジの横に並んだ小さな電池を取って、会計を済ませる。

ふとポケットに手を入れると、捨て損ねた電池と、蓋を開ける時に使った小さなドライバーに気がついた。

「……しまった、帰ったら捨てなきゃ」

ガゴッ!!

突然響いた大きな音に、俯いていた顔をぱっと上げた。
その先にはトラックに乗り上げ、引きずられるように進む乗用車。

対岸の班長とヒロも気がついたようで、トラックの方に駆け寄っている。

「大丈夫ですか!」

「おい、どうした!?」

「ブレーキとアクセルを踏み間違えてトラックに追突したら……バンパーが挟まってしまって!」

トラックを止めなきゃダメだ。
そう思っていた矢先

「ヤバいよ班長!運転手が病気かなにかで気を失って…」

聞こえるヒロの叫び声

これはかなりまずいんじゃないのか…?

暴走トラックと→←尾行



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しゃ〜け(プロフ) - 早桃さん» 早桃さん、コメントありがとうございます〜!!!面白行っていただけてもうめちゃくちゃ嬉しいです!!頑張って更新していくので、今後も是非よろしくお願いします〜!! (2022年12月27日 1時) (レス) id: 8454d3df8d (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - すっごい好きな作品です!面白い!これからも無理せずに更新頑張って下さいね!応援してますぅぅぅ! (2022年12月26日 12時) (レス) @page37 id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しゃ〜け | 作成日時:2022年12月19日 2時

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