猫 ページ31
午後の講義も終わり、寮へ向かっていると、何やら用具倉庫の方で声がした。
(なんだ…？)
外に面している廊下から出て、倉庫の方に向かうと
「大丈夫だよー」
「ねぇ、やっぱり誰か呼んだ方がいいんじゃない？」
「怖がっちゃってるね」
横の木の上を見上げながら、話す3人の女生徒。
近寄って見ると、すぐ状況を理解できた。
「猫………」
だいたい地面から3mくらいの木の上で、灰色の猫がうずくまってこちらを見下ろしている。
「やっぱり、私誰か呼んでくるね！」
1人が校舎の方に駆け出して言ったのを見送って、残った2人と顔を見合わせる。
「どうしようね……｣
｢あの子、朝もここで見たから、朝からずっとあそこにいるんじゃないかな…」
答えるかのように猫は鳴き声をあげる。
降りられない、というのは確かにそのようだ。
ふと、横から視線を感じてそちらを見る。
「ところで…あなた鬼塚教官のとこの子だよね？
確かコンビニに呼ばれた時にいたから！」
どうやらこの2人は、あのコンビニの強盗未遂事件にエキストラ役として呼ばれた中にいたらしい。
「ああ……あの時はありがとうございました」
そう言って頭を下げる。
あの時の私の役割としては、中から見つからないように待機場所への誘導と、裏手にあるスタッフ入口の制圧だったから、覚えられていた事に少し驚いた。
｢あの猫、降ろせたらいいんですよね？」
「そうなんだけど、ビビっちゃって、降りてこないんだー」
周りには、ボロい用具倉庫と木くらいしかない。
ただ、倉庫のドアノブに足をかければ、どうにか屋根上には行けそう。
「……しょーがない」
「えっ…ちょっと！？」
手にしていたノート類を地面に置き、倉庫の角を握りながら、ドアノブに足をかけた。
そしてそのまま足に力を入れて、一気に上を飛んで屋根のへりに手をかけて、体を引き寄せた。
ギシギシと倉庫が音を立てるが、お構い無しに無理やりよじのぼる。
そして木の方面を見すえ、小さく息を吐いて屋根を駆ける。
「よっ……と！」
屋根を縁ギリギリで踏み切って、太い枝にしがみつく。
かなり木を揺らしてしまったが、見上げた少し先に、猫はまだうずくまっていた。
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しゃ〜け(プロフ) - 早桃さん» 早桃さん、コメントありがとうございます〜！！！面白行っていただけてもうめちゃくちゃ嬉しいです！！頑張って更新していくので、今後も是非よろしくお願いします〜！！ (2022年12月27日 1時) (
レス) id: 8454d3df8d (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - すっごい好きな作品です！面白い！これからも無理せずに更新頑張って下さいね！応援してますぅぅぅ！ (2022年12月26日 12時) (レス) @page37 id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゃ〜け | 作成日時：2022年12月19日 2時
