・ ページ21
「次!降谷!」
教官の声に、面を被ったゼロが立ち上がる。
「こいつは見物だねぇ…」
「学科の成績は降谷が上だけど、これはどうなるか……」
確かに気になる。
そもそも、班長とゼロとではかなり体格差があるし、単純な1発の重みも、班長の方が高そうだ。
「行けぇ
「やっぱそこ?」
「はは、松田顔はいいのに、性格に難が有るからなぁ」
「は」
「え?」
「えっ?」
「初めィ!!」
教官の掛け声と同時に、班長が突っ込んで行った。
それを見ながら、足を崩して胡座を組む。
「?
試合、見ないのか?」
ふと横を見ると、何かとんでもないものを見たかのように目を見開くヒロと萩原、そして
「……松田?なんか顔赤いけど、大丈夫か?」
「んなっ……な、何でもねーよ!!
おい、萩!この試合、どっちが勝つか賭けねぇか?」
バッと前を向いたかと思うと、少し上ずった声で萩原に賭けを持ちかける。
「俺は零の勝ちに売店の焼きそばパン!」
「んじゃ班長にメロンパン!このまま勢いで押し切っちまうよ!」
勢いだけでは見ている感じ、班長が優勢だ。
なんと言うかパワープレイというか
「班長は俺との試合で膝を痛めてる…零がそこを見逃すワケがねぇ……」
「おま……汚ぇ…」
なるほど?零が勝つ算段があったから賭けを始めたと。
(ずる賢いやつ)
「つっ……!」
膝が傷んだのか、班長の体制が崩れた。
その隙をゼロは当然見逃さず、そのまま……
パァン!!
直後、動きを止めたゼロの側頭部に班長の一撃が叩き込まれ、その勢いのまま、ゼロは床に倒れ伏した。
「おいおいおい…」
「焼きそばパンGETォ!!」
「零!?」
「……そうなるのかー」
ゼロは優しいから、班長の傷に追い討ちをかけることは出来なかったんだ。
……でも、それじゃダメだよゼロ
「相手をも無傷で制圧する……それは制圧できた時の話だ。
ガッカリだよ降谷……なぜ俺のヒザを打ち抜かない?どうして躊躇した?
これが本物の現場なら、お前は大ケガを負い、被疑者は逃走しているぞ!!
凶悪犯に情なんて通用しねぇ…こっちが弱さを見せたら最後、とことんそこに付け込まれて、待っているのは親父のような最悪の結末だけ……
誰よりも強くなければ、正義は遂行できねぇんだよ!!」
班長の声が、強く、静まり返った道場に響く。
「俺は何か…間違ったことを言っているか?」
293人がお気に入り
「名探偵コナン」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しゃ〜け(プロフ) - 早桃さん» 早桃さん、コメントありがとうございます〜!!!面白行っていただけてもうめちゃくちゃ嬉しいです!!頑張って更新していくので、今後も是非よろしくお願いします〜!! (2022年12月27日 1時) (レス) id: 8454d3df8d (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - すっごい好きな作品です!面白い!これからも無理せずに更新頑張って下さいね!応援してますぅぅぅ! (2022年12月26日 12時) (レス) @page37 id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しゃ〜け | 作成日時:2022年12月19日 2時