言葉が無くても想いがあれば届く（万事屋組etc.） ページ17
林街道大学病院の近くにはたくさんの施設がある。
その中の一つに『プロキオン』という特別支援施設がある。そこは重度の障がいなどを持った子達に勉強を教えたり、自分のやりたいことをする施設。
春咲優里菜もかつては定期的に通っていたが、今はその支援も終了している─────けれども彼女は「ここで作業をやると捗る！｣と言っているので、仕方がなく許可を貰って作業をしている。
優里菜の本業は所謂クリエイターの類で現代アートの系統を得意とする。普段はウォールペイントや表紙デザインなどを描いており、今は『プロキオン』の教室内をキャンパスにして作品を作っている。
そして今日は手伝って欲しいとの事で、銀時と新八と神楽も一緒に来てる。
この時、銀時は現代アートと言ってもどうせちゃっちぃ落書きみたいなものだと思っていた、というより舐めきっていた。
しかし、優里菜の描いているモノは、そんなイメージを簡単に壊してしまった。
三面の黒く塗られた壁に白く象られた沢山の花束の様な塊があるのを見れば、誰だって呆然としてしまうだろう。
「・・・・・待って。この花束って・・・全部優里菜ちゃんが描いたの？」
「花束って言うよりかはくす玉をアレンジした感じだね。
えーっと、元々は白い壁だったけど。その白い壁に予め型抜きした下絵を貼っつけて、くす玉の所を型どって、くす玉の外側の所と縁の所は黒く塗って、そのまま放置。
下描きは一面ずつやったからー・・・外側と縁を黒く塗るところ以外は一人でやった｣
「ほとんど一人でやってるじゃん!!!!え、嘘でしょ!?普通これ一人でやる作業量じゃないよ!?｣
新八の驚きにも似たツッコミに優里菜は首を傾げた。
そして優里菜はこう言った。
「え、下絵をなぞるだけの簡単な作業だよ？」
「俺達凡人の簡単と優里菜ちゃんの簡単は一緒じゃないっつーの。ほら見ろ、ぱっつぁん呆然としてらァ｣
「こ、こんな作業を・・・簡単って・・・・」
「新八ぃ。優里菜の考えてる事を理解しても無駄アル。
バカと天才は紙一重って言うネ、優里菜の考えてる事は普通の人には分からないヨ｣
神楽の一言に優里菜は「それを言うなら奇人と天才は紙一重だよー」と付け加えた。
こうして四人は、色付けの作業に取り掛かった
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