紅き弾丸、蒼き銃士（�検� ページ15
鮮緑の髪の青年は淺桐の体をドラマなどで見るような拘束の仕方をしている───けれど、並大抵の一般人がするような拘束では無い。彼女の腕を捻るように後ろにまわして、身動きも完全にとれなくしている。
それに、先程まで来島また子と喜瀬舞奈香の二人しかいなかったと言うのに───淺桐が来た瞬間、姿を現した。
何が言いたいのかと言うと、彼は
淺桐悠桜が来て、鮮緑の髪の青年の存在に気づけたのは不幸中の幸いだろうか。
けれど舞奈香はそれ以上に、青年の存在を今の今まで知らなかったということだ。
岡田似蔵、彼は目無し鬼と言う呼び名も付いた
河上万斉、彼は礼節を重んじる殺人鬼と呼べない人殺し。
二人は嗜好は違えど、世間ではある程度認知されてる。
そもそも彼らは───名が広まる前から十三階段は目を付けていた。
けれど──────彼はなんだ？
彼の存在を、僕は一切知らない。
鬼兵隊の隠し球か、あるいはただ単に知らなかっただけか────
「えーっと・・・初めまして、ですよね？喜瀬舞奈香さん。僕は久坂遥って言うんですけど・・・その表情だと、あの暴君は僕の事忘れてるみたいだなぁ・・・心外心外｣
久坂と名乗る青年は暴れるようにもがく淺桐の動きを封じながら呑気に呟いた。
この時舞奈香は気づいた───彼は岡田似蔵や河上万斉とは違うベクトルの狂気を感じると。
「それはそうと来島ちゃん。最初っから人質さえ取れば良かったんじゃない？そうすれば簡単に行けたと思うけどー・・・・」
「私一人で十分だってのに、なんで着いてくるんっスか!?待ってろって言ったはずっス！｣
「えー。だって気になるじゃん。あの紅桜を盗んだ女の子ってのが、どんなのかってね・・・・・もしかして、君？｣
久坂は、舞奈香の方を見て呟いた。しかし舞奈香は答えず、その代わりと言わんばかりに淺桐が答えた。
「舞奈香さん・・・！この人達一体誰なんですか・・・!?何が起きてこうなったんですか・・・!?｣
「おっと、話を聞かない子が一人いるねぇ・・・・・・今は僕が聞いてるの、黙っててよ。死にたくなかったら、ね？｣
淺桐の行動を脅すようにして、久坂の刀が彼女の首筋に更に食い込む。その首筋からは、血が僅かに流れていく。
途端─────頭の熱が、冷たくなっていて。
頭の回転が、ゆっくりとなっていく
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