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P.8 ページ9

Aside


16:30


「いらっしゃいませ!」


「あ!Aちゃんいらっしゃい」
「こんにちは、まりさん」


今日も無我夢中に余白堂に吸い込まれた。つけていたイヤホンの片耳を取る。


ふと、入口の子どもの本コーナーにある「職業図鑑」を見つけた。


女の子が好きそうなフォントで、表紙は眩しいくらいキラキラしていた。


無意識にその本を手を取り、ページをパラパラめくると、


イラストで書かれている女の子が、表紙みたいにキラキラしていた。


私は将来、この子みたいに生きられるのだろうか。


そんな明るい未来みたいなのは、やってくるのかな。


それとも、自分でつくるしかないのかな。




___「Aちゃん?」
「あっ、すみません。今日は新しい本を買おうと思って」


「前のエッセイ読み終わったんだ!次はどうするの?」
「どうしようかなあ...。あ、あとまりさん」


「ん、どうしたの?」
「工藤さーーーん!!」
「あっ、はーい!ごめんねAちゃん」


まりさんは混んできたレジにいる店員さんに呼ばれて駆け足で行ってしまった。


ああ、やっぱり忙しいよね。
私に構う暇なんか、ないよね...


進路、どうしよう。


(拝啓 あの日の僕へ)


私は推しのシゲちゃんが書いた小説の棚の前に立ち、彼の処女作を手に取った。


レジを済ませ、いつもの席に座る。


「好きな人」から何かを得たかったんだと思う。


余白堂の読書スペースは、いつもより人が少なかったが、友人と来ている客が多いのか、話し声で少し騒がしかった。


(例えばこの声が)


そもそも今まで人と話せずに暮らしてたんだし、構って、とか、わがまますぎるよね。


こんなにも気分が落ち込んだのは初めてで、すごく怖くなって、肩が震えた。


(僕は誓うよ)


進路、どうしよう。


こんな時、シゲちゃんならなんて思うのかな。


不意に片耳から流れる音楽に涙が出そうになった。




ああ、


そういえば、


今日、


曜日は違うけど、


来ないかなあ、あの人。


なんで、こんな時に浮かぶ顔が、


成さん、なのかなあ。


___

U R not alone

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紫翠(プロフ) - 八百万さん» 八百万さん、コメントありがとうございますとても嬉しいです!!現在この作品の第2編(まっすー編)も連載中ですのでそちらもぜひお楽しみください! (2021年6月22日 21時) (レス) id: ea39d4d25c (このIDを非表示/違反報告)
八百万(プロフ) - 最初から一気読みしました!とても面白くて気づいたら読み終わってました!こんな面白い小説を読めてよかったです!ありがとうございます! (2021年6月22日 16時) (レス) id: 6b4fee2f31 (このIDを非表示/違反報告)
紫翠(プロフ) - momoさん» momoさん最後まで読んでくれてありがとうございました!こうやってコメント頂けて本当に嬉しいです(泣) 今後とも紫翠をよろしくお願いします!! (2021年4月20日 0時) (レス) id: ea39d4d25c (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 完結おめでとうございます!思いでの本屋さんは、更新されたら絶対に一番最初に読む!くらいな勢いで好きでした!(今もめっちゃ大好きです!)完結しましたが、また読み返します! (2021年4月19日 18時) (レス) id: a0b82fa00b (このIDを非表示/違反報告)
紫翠(プロフ) - momoさん» STORYも最高でしたね(涙) (2021年4月3日 19時) (レス) id: ea39d4d25c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫翠 | 作成日時:2021年3月15日 0時

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