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伏黒くんの後ろ姿を追って廊下を足早に駆ける。伏黒くんはこちらをちらりと振り返ると少しだけ歩くスピードを落とした。
校門まで足を進めると黒い車が止まっていて、運転席には携帯を弄っている五条さんがいた。今日はあの日とは違って黒いアイマスクをしていた。伏黒くんが運転席の窓をコンコンと叩くと五条さんはこちらに気づく。視線はわからないけれど後ろに立つ私のほうへ頭を動かして、私を認識するとにっこりと口角を上げた。ガチャ、とドアのロックが外れる音がして、伏黒くんは後部座席のドアを開ける。そのまま私の方へ振り向いて口を開いた。
「乗れよ」
「あ、うん」
伏黒くんは体をずらして、私から乗るように促す。そっと身を屈めてドアをくぐった。奥へ詰めると、伏黒くんも体を滑り込ませるようにして車に乗り込んだ。
「全く恵は素直じゃないんだから」
運転席で五条さんが呟いた。その声を拾ったのか伏黒くんはチッと舌打ちをしていた。
バックミラー越しに五条さんはちらりと私を見る。車はゆっくりと走り出した。
。。。
「ここは、団地…ですか?」
連れてこられたのは、コンクリートの無機質な古い建物。所々ヒビが入っており、かなり年季が経っていることが分かる。
「そう。正しくは団地だったところ、かな」
五条さんは軽い口取りで返事をする。
「ここに呪霊が?」
「ここは古くて手入れもされてないから身投げが多いのよ」
視線は上の方へ。確かに高い建物だった。きっと用意に屋上に登ることができて、そこから落ちるのだろう。
「これ、何級案件ですか?」
隣に立つ伏黒くんが口を開く。
「ん〜、もともと恵の訓練のために拾ってきた案件だからね、2級くらいだったはずだよ」
「もともとって……。それをAにやらせる気ですか?」
今まで呪霊のことなんか全然知らなかったのに、そう言いながら伏黒くんはちらりと私に視線を落とす。
「僕の見立てなら、Aはきっと自然発生した呪いに対してならそこそこ祓えると思うよ。まぁ、ちょっと注意する必要はあるけど。だから、恵はサポートで入ってね」
それじゃ行ってらっしゃい。そう言いながら五条先生は私と伏黒くんの背中を押した。五条さんは帳をおろし、団地には私と恵くんが取り残される。
「あの人、入ってこねぇのかよ」
ぼやく伏黒くんを横目に私は初めて見る帳に触れた。
「おい、行くぞ」
いつの間にか玉犬を出した伏黒くんは私に声をかける。伏黒くんは術師の顔をしていた。
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雛形(プロフ) - hiyoriさん» hiyoriさんコメントありがとうございます!凄いと言っていただけて本当に嬉しいです…!私の場合小説を作る時はテーマを決めて大体のプロットを立ててから書き始めています。1話1話はそれに沿うように勢いで書いて推敲して、というような感じですね! (2022年10月3日 8時) (レス) id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
hiyori - 凄いです😭 どうやって小説は作るんですか? (2022年10月2日 22時) (レス) @page5 id: 3185205e6c (このIDを非表示/違反報告)
雛形(プロフ) - アキさん» アキさんコメントありがとうございます!他の小説も読んでいただいた上にさらにコメントまで!本当にありがとうございます!嬉しすぎて転げ回ってしまいます…!不定期更新になりますがこれからも頑張りますね! (2022年9月30日 1時) (レス) @page29 id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - 主様の書く小説どれもドストライクすぎます😭💕💕 (2022年9月23日 1時) (レス) id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
雛形(プロフ) - 春雪さん» コメントありがとうございます。見直したのですが名前変換できない部分が分からず、念の為更新したのですが現在も変換出来ない様でしたらどの文章の所か教えて頂けますでしょうか…?本当に申し訳ありません💦 (2022年7月24日 23時) (レス) @page9 id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雛形 | 作成日時:2022年1月26日 19時