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先に沈黙を破ったのは廉だった。どういうわけか、つい数秒前とは打って変わって口元が緩んでいる。
『…とでも言うと思ったん？冗談、冗談。さっき勝手にゲイ扱いされた仕返しやな。』
してやったとでも言いたげな顔で、騙されかけた私を揶揄うように笑う。
おかしいとは思ったんだ。四六時中、これだけ近くにいて廉に好きな子が出来たとしたら気付かないはずがない。
少しでも期待した私が馬鹿だった。
『すみません。あの、永瀬先輩ですよね？』
遮るように、背後から甲高い声に呼び止められる。ほぼ二人同時に身を翻すと、私と同じくらいの背丈の女子生徒が廉を見据えていた。
まるですぐ隣の私のことは視界に入っていないと言わんばかりに。
見慣れない顔。ネクタイの色からして恐らく新入生。
新学期早々、ましてや話したこともない相手にでさえ好意を抱かれているなんて、校内一のイケメンと持て囃されるだけある。
『そうやけど。なに？』
『私、一年の加藤百合です。実は文化祭で永瀬先輩を見てこの高校に入ろうって決めたんです。』
『あー、そうなんや。ありがとう。』
終始無愛想なままの廉に対して、彼女はなんとも満足そうな笑みを振りまき、去って行った。
それにしても女子と話す時の廉ってあんなに冷たいんだ。感情が篭ってないというか、なんか操られたロボットみたい。
そっか。どうせ廉のことだから、照れ臭くて格好つけているんだ。
にしてもあの子すごい度胸だなぁ。廉が真顔でも微塵も気にする素振りなかったし。
「なんか、さっきの廉感じ悪くない？」
『そう？別に普通やろ。』
「いや、全然笑ってなかったし。いつもあんな感じなの？」
『まあな。彼奴らちょっと優しくしただけですぐ勘違いしよるから。』
「へぇ、モテるって案外大変なんだね。」
意外だった。てっきり廉は誰に対しても優しいと思っていたから。
でも、すごい。まるでロボットさながら終始感情を変えず、素っ気ない態度をとっても一向に人気が衰えないなんて。
イケメンはなにしても許されるってやっぱり本当なんだ。その分、苦労もしているみたいだけれど。
『だから俺は勘違いされてもええ子にしか優しくしないって決めてんねん。』
「へー。じゃあもし妹じゃなかったら私にも冷たかったってことか！妹で良かった。」
『お前って、本当アホやな。』
どうせ、いつもの調子で単純に馬鹿にされているだけだと思い、まさか廉の言葉の真意に気づくはずもなかった。
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恋(ren)(プロフ) - sakiさん» ありがとうございます。マイペースな更新になりますがお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年3月18日 4時) (
レス) id: 4779cb5bc5 (このIDを非表示/違反報告)
saki(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！続き楽しみにしてます♪ (2020年3月17日 23時) (レス) id: 6230179af3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恋(ren)
| 作成日時：2020年2月15日 0時
