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*side Senra
「あ、俺予定あるし帰る」
その言葉をずっと待っていた。
もちろん志麻くんのことは相方として、仲間として好きだが、今だけは帰って欲しかった。
予期せぬチャンス到来。
既に購入済みの遊園地のチケットを探し出し、心の準備をした。
「A、…」
「何ー」
「あ、明日の午後って何か予定あります、?」
「んーー……ごめん、あるっちゃある」
ガーン、そんな擬音を背にしたような敗北感がのしかかってきた。
不安的中。
鞄から取り出そうとしていたチケットは、もはやただの紙切れと化した。
「そういうセンラは暇なの?明日の午後」
「そうですけど」
そりゃあお祝いデートしてくれる恋人もいませんしね、そりゃあ。
告白を全部全部断ってきたのは誰の所為だと思ってるんだ。
「空けといてね」
「は、はい?…」
「センラに相談ある」
相談、ねぇ。
どう考えても告白フラグだが、先程の言動から見るに志麻くんとの恋愛相談というのも考えられなくはない。
もしそうだったらその場で告白して、めちゃくちゃにでもしてやろうか。
「ええですよ。何処行きます?」
「チケットあるの。遊園地」
俺の鞄に入っているのと全く同じ遊園地のチケットが、2枚。
ただしAが持っていたのはペアチケット…所謂、カップル用のチケットだ。
俺は購入する時に照れまくった結果、悟られないためだと言い訳してシングルチケットを2枚買った。
「はい」
「ど、どうも…」
「午後2時に現地集合ね」
「はい」
「私、これで帰るね」
「ま、また明日…」
「はいはーい」
はぁ。
ため息、と呼ぶには明る過ぎる吐息を1つ。
やっと、やっと誘えた!
いや、誘われたのか。
志麻くんとの恋愛相談に。
何はともあれAと遊園地デートを誕生日に楽しめることを喜んでおこう。
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作者名:参加者一同 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/seyu/
作成日時:2018年9月29日 11時