可愛くねぇ奴。- 2 -

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資料棚と、両手を資料棚に着いている岸に挟まれて、しかも向かい合って。

もともと持っていた資料を抱きしめて、咄嗟に斜め下を向いた私の額に、ほんのりと岸の綺麗な鼻が当たっていて、それがどれだけ距離が近いかを物語る。




『あっぶねぇ〜……呼べよな』

「ご、ごめ…」

『当たってない？』

「う、うん、私は全然…」




すると岸は離れて、周りの景色も元の色に戻っていった。
私目掛けて落ちてきたが、岸によって弾かれ転がった資料を彼が拾う。




『ここにしまえばいいの？』

「あ、うん…」

『あ、ついでにそれも貸して？しまうわ』




私が抱えて生温かくなった資料を取って、元の場所に戻す。




「ご、ごめん…痛かったよね」

『んぁ？べつに？』

「絶対痛いよ…！あれめっちゃ重いもん…」

『べつに何ともねぇよw』

「ほんとごめん…」




絶対痛かっただろうに。

ちらりと見えた首の後ろのところ、そこにファイルの角が擦れたような赤い線が白い肌に嫌に目立っている。

つまりあの重量のものが、そこに当たったということだ。




「首…ここ、赤い」




赤くなっているそこをそっと触ると少し痛そうな顔をした。




「お昼休み、湿布買ってくるからそれまで冷たいもので冷やそう？」

『湿布なんていいって！適当に冷たい飲み物買って適当に当てとくよ』




そう言うとそそくさと資料室を出て行ってしまった。







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