全てを捨てて、ここに来て - 3 -

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『なぁ…Aと望…どうなるんやろ』

「どうもならんやろ」

『何でそんな余裕なん！』





針もてっぺんを超えた夜中。

俺は窓を開けて夜風を感じながら照史と電話をしていた。





「もうかけてこないで、ってAに言われたって望が言うてたから」

『もうかけてこないで……、なるほどなw』






さすが照史、理解が早いわ。






「うん、だからきっと大丈夫やなって」






Aは、本当に迷惑だと思っていて
かけて欲しくないと思ったら、黙ってブロックするなり携帯を変える人。



あいつは少しクールなところもあるけど
めちゃくちゃ人のことを考える人で
実は人目もめちゃくちゃ気にする人で。

でもどんなに腹が立っても悪口は言わないし
相手を傷つけるようなことは言わない人。



だからその“ かけてくるな ” は望の為を思ってるとしか思えなかった。


連絡先は消したくないし、まだ望を見ていたい
でも望とは距離を置かなければならない。
それでも望から連絡が来たら電話にきっと出てしまうから
悲しいけど電話がかかってこないようにしようと考えたんだと思う。






「望には言っといた。望の気持ちがAには必要やでって」

『うん、俺もそう思う』






俺はこんなにもナチュラルに恋敵のサポートをしているわけだけど、俺だってAを好きな気持ちは変わっていない。

だからこそ、これからも密かに彼女の気持ちには敏感でいたい。






「俺、結婚できなそう」

『じゃあ俺と結婚するか』

「キモww」

『キモいとか言うなや！w』





そういえば、照史の恋愛ってどうなんだろう。





「照史は彼女おらんの？」

『んー彼女？おらんなぁ』

「好きな人は？」

『おるおる、一緒に暮らしたいくらい』

「え、まじ？」

『うん』

「え、誰」

『お前ら♡』

「………」







俺は静かに電話を切った。







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