全てを捨てて、ここに来て - 3 -

14 ページ14

.





.






まるでもう、抑えれられなくなった気持ちが溢れたようだった。



パーカーの下で、小瀧君の腕の中で
私がさっきとは違う涙を流している事を小瀧君は気付いているかな。





『Aさんにどんなに拒否されても…やっぱり好き……』





小瀧君は、苦しそうだった。





『俺を…俺をAさんの彼氏にして…？』





ぎゅぅ……っと私を抱きしめ直して

パーカーの布越しで


『大好き…』


なんて、反則だ。






「こた、きくん…」

『はい』

「弱い私で、ごめん…」






これから伝えたいことを伝えるのに
伝えたいことを考えたらまた泣けてしまう
言葉がつっかえてしまう



そんな私をまた優しく撫でるから、私は女なんだと感じる。



女であることを悔やんだ日もあった。
女であることで悔しい思いをした日もあった。
女であることを嫌に感じた日もあった。



でも、小瀧君にこうしてもらえるのなら
今、心底、本当に心の底から女で良かったと思う。







「私には、濱田先輩みたいに大切な人を守る力も、まだ、ない」


「寂しい想いも、辛いことも経験させちゃう、かも、しれない

私も、最悪の場合、失う辛さを経験するかもしれない

だから、小瀧君を守れないのも、自分を守れない事も怖くて、離れようとしたの

でも、私、いろんなことを乗り越えるのは、どうやって考えても小瀧君が良くてっ」






こんなに言葉がつっかえているのに
もう私が何て言いたいか分かったんだね


だから、君もこのパーカーにパタパタと涙を落としているんだね






「だから、小瀧君が言ってくれたみたいに、そんな不安とか、そういうの全部、
1回全部捨てた」








「______小瀧君私の彼氏になってください」








.









.

15→←13

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す