全てを捨てて、ここに来て - 2 -

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急いでスーツに着替え、職場に向かうと
会議室には既に集まっていた。

どうやら私が最後の1人だったみたいだ。





「すみません、遅くなりました！」

「いや、気にするな。急遽だったからな」





空いている席に座る。
私が椅子にお尻を付けた瞬間、会議は始まった。





「休日なのに申し訳ない。」




ペンを握って見つめる先に、捜査部長はいる。




「今日急遽集まってもらったのは、先ほど別の捜査班から犯人に目星が付いたと連絡が有ったからだ。

どうやらその場所に現れるのが明日だそうだ。

急な話だし、明日は日曜日でみんなには申し訳ないが明日逮捕に向かう。」



「近頃ここでも何件か、付近の署でも何件か、違法物所持で逮捕された事件があっただろう

そいつらの購入先が共通していることが分かった。

調査班の報告によると、明日俺たちが狙っている犯人達を更に束ねている存在がどうやらいるらしいが、明日は大元ではなく、確実に捕まえられる奴らを捕まえる。」





犯人と思われる男達の写真が貼られているホワイトボードを、穴が空くほど見て、脳に焼き付ける。

作戦や実行時間、1文字も逃さずに聞き取りペンを動かす。

捜査部長から一連の流れや情報を聞いている時、聞こえるのはメモを取るペンの音だけ。

まるで試験中の教室のようだ。






「___最後に１つ」






大元ではないにしろ、容疑がかかっているのは5人。
多くは無いが、少なくも無い。
確実に全員捕まえたいところだ。






「今回逮捕に向かう犯人グループの中に、要注意人物がいる。」







部長が指をさしたのは 桜庭 という男だった。


黒髪短髪で、スーツがよく似合いそうな細身体系で、顔も比較的整っている。


一般会社で働いていると言われても違和感が無いような爽やかな見た目だった。






「こいつは逃げ足が早いらしい。

警察の存在に気付いたらこいつが持って逃げる可能性が高い。
マークするべき人物だが気を付けて欲しい。
こいつは逃げるためなら誰かを犠牲にすることも厭わない。


…どういう意味か分かるな？」






爽やかな見た目とは裏腹だ。

逆にそれだけ躊躇がないならもはや清々しいと言ったほうがいいのだろうか。




逃げるためなら犠牲も厭わない

つまり、殺すことも厭わない





奴の犠牲の対象は、私たち警察だ。







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