全てを捨てて、ここに来て - 2 -

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食事も終えて、私の家路を慣れない私服姿で歩く私と小瀧君。



今日も月が眩しい。夜風も心地いい。





『ょし…、到着』

「今日はありがとう、すごく楽しかった」





横並びが、向かい合う形に変わる瞬間が少し切ない。





『こちらこそありがとうございました』

『あと、』

「ん？」

『Aさんのこと、更に知れて嬉しかったです。仕事の事とか、Aさん自身の事とか…』

「あぁ…、ぅん」

『すっ…っごい楽しかったです』





何だか照れてしまって、少し俯いて
街灯で伸びた小瀧君の影ばかり見てしまう。



本当はもっと知って欲しい。



…もっと、知って欲しい。





「…ぇと、じゃあ…また会おうね」





少し流れた沈黙の後、先に口を開いたのは私だった。






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『待ってAさん、』






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でも、少しだけ焦ったような口調で私の名前を呼ぶから




「どうしたの？」




少しだけ私も不安になる。

だって、小瀧君が、見たことない顔してるから。

不安、焦り、緊張をごちゃ混ぜにしたような顔。





『Aさんみたいにカッコいい女性を好きだって人を教えようと思って…』



『ううん、Aさんにめちゃくちゃ惚れてる人を教えようと思って』




「え、 本当にそんな人がいるの？w」




『はい』






冗談でしょ、と言葉を続けようと思ったのに
どうしてさっきより緊張した顔をしているのだろう


どうして言葉を詰まらせているのだろう


どうして____






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『心底惚れてます。』






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『俺、Aさんのことが好きです。』






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