全てを捨てて、ここに来て (ページ42)

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nozomu▷▷

かっこいい刑事さんトークは止まることはなく、教室に入るまで続いた。

俺と大吾は同じクラスで、席は前後だから今日はずっと昨日の刑事さんの話だろう。

俺もその話が聞きたかったからいいけれど。

「はぁ……かっこよかったなぁ…」

『俺も会ってみたいわ、2人に』

「僕もまた会いたい！…でも刑事だって言ってたから、お巡りさんとは違うでしょ？普段なかなか会えない人達やと思う」

『そっか』

残念やな、と思っていると
ふと視界の隅に危なっかしい姿が映った

『…あれ、危ないよな』

「え？あ、ほんまや」

あれは…、掲示係の小柳さんか。

椅子に乗って、壁の上の方に掲示物を貼っている。
彼女は小柄で、椅子に乗っていても背伸びをしながら掲示物を貼っていた。

『ちょっと行ってくるわ』

俺は彼女に近付いた。

『ぅわ、』

俺がやろうか？、そう声を掛ける直前
彼女の椅子がぐらりと揺れた

「きゃっ、」
『……あっぶね』

後ろから腰と腕を何とか支え、間一髪で間に合った。

「こ、小瀧くんっ」

『あっぶねぇ、よかった間に合って』

「あ、あ、ありがとう…」

『いーえ、これ俺やるよ』

椅子に立ったまま俺と目が合っている小柳さんは顔が真っ赤っか。

そりゃそうか、男に腰触られたんやし

『何かごめんな？腰持っちゃって』

「ううん！むしろほんとにありがとう…」

『怪我しなくてよかった、ほら、それ貸して？』

掲示物を受け取ると、僕もやるよ、と大吾が言った。

『サンキュ』

「西畑くんもありがとう…」

「どういたしまして！怪我しなくてよかったね！」

「うん…！」

『大吾ー、画鋲取ってー』

俺も、刑事さんみたいに助けられたかな
って、規模がちゃうかw

あーあ、何だかAさんに会いたい。

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