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nozomu▷▷





「Aおった?」
「うん、おったよ。ちゃんと渡せた」
「良かったわ」




先に席に座っていた淳太と向かい合うように座った。




「Aさんっていうんやね」

「…え?」

「照史も淳太もAって言ってたから苗字知らなかったんよね」

「あぁ、うん」





AAさん。
AAさん。
AAさん。





「望」

「んー?」

「Aにだけは、手ぇ出すなよ」




グラスに入った水を飲みながら視線だけ、俺に向ける淳太。




「絶対、いつも店に来てくれてるみたいな女の人達と一緒にすなよ」

「淳太と照史の親友なんやろ?さすがに手なんか出さん」




他の女と一緒にするな、と言う淳太の目が、声が、本気だった。


いつもお世話になっている淳太
そして仲良くしてくれている照史の親友だという彼女を
ソウイウコトの相手にしようなんて、さすがにそんなことはしない。

当たり前だ。



ただAAさんは、俺の中で“特別枠”なことに変わりはない。



それは俺にも普通に接してくれる、むしろしっかりと『他人』『親しくない』という態度をしてくれるからだ。

ここで言いたいのは俺はMじゃないということだ。
それだけは忘れんといて欲しい。



俺の周りには他の男と俺に対する態度が180℃違う人、俺を見るなり態度や声色を変える人、しかいない。

贅沢言うな、と言われると思うが、俺はそれをいい意味の特別だとは思っていない。

むしろ『チャラい』という勝手なイメージや噂が独り歩きして、小瀧望はとんでもない奴というイメージが完成してしまう。



だったら、特に目立たない普通のポジションになりたかった。



俺は捻くれた。



どんなことをしたってそんなイメージしか付かないのなら、もうその通りにしてやろう、と。

ちょうどよくソウイウコトをしたい年頃っていうのもあって、ソウイウコトをしたい気分になると毎回バーに顔を出すようになった。



夜の相手を選んでいるだけ。

べつにその人に興味はない。

ただ人が良さそうな人に声をかけるだけ。

ただ、それだけ。





「…」





.






.

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作者名:ash | 作成日時:2019年3月7日 23時

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