23 ページ24
nozomu▷▷
「Aおった?」
「うん、おったよ。ちゃんと渡せた」
「良かったわ」
先に席に座っていた淳太と向かい合うように座った。
「Aさんっていうんやね」
「…え?」
「照史も淳太もAって言ってたから苗字知らなかったんよね」
「あぁ、うん」
AAさん。
AAさん。
AAさん。
「望」
「んー?」
「Aにだけは、手ぇ出すなよ」
グラスに入った水を飲みながら視線だけ、俺に向ける淳太。
「絶対、いつも店に来てくれてるみたいな女の人達と一緒にすなよ」
「淳太と照史の親友なんやろ?さすがに手なんか出さん」
他の女と一緒にするな、と言う淳太の目が、声が、本気だった。
いつもお世話になっている淳太
そして仲良くしてくれている照史の親友だという彼女を
ソウイウコトの相手にしようなんて、さすがにそんなことはしない。
当たり前だ。
ただAAさんは、俺の中で“特別枠”なことに変わりはない。
それは俺にも普通に接してくれる、むしろしっかりと『他人』『親しくない』という態度をしてくれるからだ。
ここで言いたいのは俺はMじゃないということだ。
それだけは忘れんといて欲しい。
俺の周りには他の男と俺に対する態度が180℃違う人、俺を見るなり態度や声色を変える人、しかいない。
贅沢言うな、と言われると思うが、俺はそれをいい意味の特別だとは思っていない。
むしろ『チャラい』という勝手なイメージや噂が独り歩きして、小瀧望はとんでもない奴というイメージが完成してしまう。
だったら、特に目立たない普通のポジションになりたかった。
俺は捻くれた。
どんなことをしたってそんなイメージしか付かないのなら、もうその通りにしてやろう、と。
ちょうどよくソウイウコトをしたい年頃っていうのもあって、ソウイウコトをしたい気分になると毎回バーに顔を出すようになった。
夜の相手を選んでいるだけ。
べつにその人に興味はない。
ただ人が良さそうな人に声をかけるだけ。
ただ、それだけ。
「…」
.
.
475人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ash | 作成日時:2019年3月7日 23時