全てを捨てて、ここに来て (ページ18)

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今回の事情聴取は他のペアが受け持つことになり、私と濱田先輩はしばらく現場で証拠などを集めることに集中していた。

事件が起きなかった時は、朝出勤して、18時くらいに仕事を終えて帰ることができるが、今回のように事件が起きればそんなことは関係なく動くことになる。
今日は何時間現場にいただろうか。
いや、考えるのはやめておこう。

今日の分が一区切りし、署に戻った時には23時を過ぎていて、私たちの部署がある階は、ほとんどの電気が消えていた。

「あー…着いたー…」

体を伸ばしながら自分のデスクの椅子にどかっと座る濱田先輩。
私も椅子に座り、硬くなった首をぐるりと回した。

「ほんまお疲れ」
「先輩もお疲れ様です」
「また明日から捜査やらで忙しくなるな」
「そうですね」

1日中集中して動いていた私達は、頭も体も疲れきっていた。

「Aー」
「はい」
「今日くらいタクシーで帰るか」
「…そうですね、流石にこれから電車で帰れる気がしません」
「よっしゃ、タクシーで帰ろ」
「私呼びますね」
「おぉ、ありがとう」

タクシーが来るまでの間、ぼーっと椅子に座って天井を眺めていた。

その時、ふと頭に浮かんでいたのは、もう何年に付き合っていた人だった。
べつに未練があるわけでもない。

ただ、ふと、懐かしくなった。

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