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「伏黒恵くん、うちになんの用かな?」




そんな声が、聞こえた気がした。

いや、気がしたわけじゃない。

声がしたんだ。



1回目、2回目、3回目。


何度も何度もインターホンを鳴らしていた時。





ぽん、



と、いきなり肩を叩かれた衝動で後ろを振り返るとスマホ片手にニコリと微笑んでいる五条悟の姿があった。




五条悟という名であることを知ったのは
昨日のことだけど。




調べたらどんどん出てくる情報。
嘘か誠かも分からない中で見つけた1人の名前。






悟「カフェの店員さんがうちになんの用?」




「そうじゃないのもう知ってるんでしょ。」





俺自身も相手の名前を確認していて、
相手も確認済み。



ほら、やばい状況だ。

本能的に自分がそう言ってる気がしたけど
逃げる訳にも行かない。





悟「うち、入る?」




「いいんすか。入って。
敵かもしれないんですよ?」





悟「僕にはAが居れば敵も見方も必要ないよ。」





「そのお嬢さんのこと、良く大事にされてるようで。」






その事で今日はここにやってきたのに。


スマホからは音が漏れていて、
女の子の声がしている。




「お兄さん?どうしたの?」と。





「ほら、お兄さん呼ばれてるから応答したらどうです?」




そう問うと、五条悟はパァっと明るい顔になった。



悟「じゃあちょっと時間貰うね。」





1歩下がった彼は声をワントーン高くし、いかにも
優しいお兄さんを演じながらもお話をしている。





…異常なまでの兄妹愛と言うべきなのか否なのか。





そもそも兄妹じゃなさそうだし
俺自身はそう思ってるけど。





(これを共依存って言うのか。)




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作者名:tsuki | 作成日時:2020年11月28日 21時

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