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いつの間にか時計の針は午後1時を指していた。
何もすることがなかった私は、適当に時間を潰していた。
お昼ご飯はあるもので軽く済ませたし、お皿も洗った。なんとなく見ていたテレビドラマも呆気ない展開で終わってしまった。
一息ついてテレビを消すと部屋は完全に静まり返る。
私は、ふと部屋を見渡した。
視界に広がる殺風景な景色がその静かを更に加速させているようだった。
(やっぱり物寂しい家…。)
部屋を取り囲む白い壁。
必要最低限にしか置かれていない家具。
言ってしまえば生活感がなかった。
(…荼毘さんって物に頓着なさそう。)
そういえば、お昼ご飯を作るときに冷蔵庫の中を初めて拝見したが、あまりものはなかった。
いつもあるものだけで簡単に済ませているような感じがした。
人の作る料理に文句を言うつもりがないが、荼毘さんの食生活が心配になってくる。
(ちゃんとしたもの食べてるのかな…。)
なんて…まるで一人暮らしの息子を心配している母親のようなことを考えている。
荼毘さんは未だ帰ってくる気配がなかった。
何もすることがなくて手持ち無沙汰である。
そして崩れるようにソファにごろりと寝転がった。
…があることを思い出す。
すっかり存在を忘れていたが、リュックに読みかけの小説が入っていたはずだ。
リュックからその小説を取り出す。
パラパラとページをめくり、最後に読んでいた箇所まで遡る。
そして、私は頭の中でこれまでのあらすじを思い描いていた。
この小説はロマンスものだった。
物語は2人の少年少女をスポットライトに照らし進んでいく。
よくある身分違いの恋を題材にしているが、どこまでも綺麗な愛を描いていた。
月の夜に、高貴な身分である少女の部屋に少年は大胆にも窓から現れた。
月明かりが淡く照らす幻想的な空間だけで、2人は出会うことを許される。
誰にも言えない内緒の時間。
2人は暗い影を抱えながらも、束の間の幸せを噛み締める。
そして、少女が眠りについたとき、少年は静かに去っていく＿＿＿。
…こんな感じだった。
いつか王子様が迎えに来てくれる＿＿＿なんてことを女の子なら思ったことがあるかもしれない。
この少女にとって、この少年こそが王子様だったのだ。
現実的ではないが、小説さながらのこんな素敵な恋物語を心のどこかで期待してしまっている。
…ここから先は初めて読む。
僅かな緊張感を胸に、私はページをめくった。
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ユア - はじめまして。すごくお気に入りになりました。更新楽しみにしています(*´`) (2021年8月25日 16時) (
レス) id: ca5ea56c38 (このIDを非表示/違反報告)
刹那カイ(プロフ) - はにか※はにかんさん» コメントありがとうございます！そう言って貰えてとても光栄です！気長に待っていただければ幸いです…！頑張りますね！ (2020年1月19日 16時) (レス) id: a642ec9f2d (このIDを非表示/違反報告)
はにか※はにかん(プロフ) - まって、読んできた中で上位に入るぐらい面白いです！無理せず続き頑張ってください！気長に待ちます！ (2020年1月19日 15時) (レス) id: d702d64ecc (このIDを非表示/違反報告)
刹那カイ(プロフ) - 安里さん» コメントありがとうございます！いい夢見れるんですか！？笑笑嬉しいです！更新スピード上げられるよう頑張ります！！ (2020年1月14日 8時) (レス) id: a642ec9f2d (このIDを非表示/違反報告)
安里(プロフ) - 毎日楽しみにしてます！！いつも寝る前に読むのですが、キュンキュンしすぎて全然寝れますせんでもいい夢見れますありがとうございます！！ (2020年1月13日 23時) (レス) id: 04b0ac31ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那カイ | 作成日時：2019年11月3日 13時
