第8話 別れの再開 ページ9
NOside
息の詰まる煙の中、桜備達は進む。
ガタガタと物音が聞こえ、小さなうめき声が響いた。
桜「あの部屋か…」
一番炎の強い部屋、おそらくリビングであろうその場所に、"彼"はいた。
焔「G…AA…AAAAA…！！」
まるで熱さにのたうち回るように、彼は蠢いていた。
桜「…焔ビトを確認…」
森「……………」
こちらに気づく余裕がないのか、それとも戦う意志がないのか。
焔ビトがこちらに攻撃してくる様子はない。
ア「早く…楽に…」
そう、アーサーがエクスカリバーを抜こうとした、その時。
カツ…
桜「…！？A…！？」
桜備の後ろに立っていたAが、何も言わずに前に出た。
桜「っ俺の後ろにいなさいと…」
貴『久しぶり。』
"裕介"
桜備の言葉を遮るように、Aはそう被害者の名前を呼んだ。
彼女の行動に、全員が息を呑む。
"嫌な予感"とは、こういう事だったのだ。
焔「A…ア"ァ"ア"…？」
貴『うん、Aだよ。』
まるで焔ビトと話すかのように、Aはしゃがみ、彼と目を合わせる。
焔ビトの手がAに伸びる
茉「あっ危なっ…」
ア「大丈夫だ。」
慌てる茉希達をアーサーが止める。でもっと焦る茉希に森羅までもが大丈夫ですよと声をかけた。
森「アイツは…」
焔ビトの手が更にAに近づく。
ア「あいつは、」
Aも、それを迎えるように手を出して
その手をぎゅっと…
ア「俺のエクスカリバーを躊躇なく掴むような女だ。」
優しく、握りしめた。
焔「カ"ァ"ア"…………！
………ァ"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"！！！！！！」
突然、焔ビトが大きな声で叫ぶ。
当然なんと言っているかは分からない。
けれど、必死に何かを伝えようと、何かを訴えようと、声を荒げているのがわかった。
Aを掴む手の力が強まり、指が食い込みそうなほど、強く、強く、その手は握りこまれていた。
その場から逃げ出してしまいそうな程の雄叫び。
そんな中、Aはただ笑顔で、黙ってその声を聞き続けていた。
貴『………あぁ、ごめんな。』
一通り叫び終わった頃、Aが返した言葉はたったその一言だけだった。
こちらに背を向けているため、彼女の表情を見ることはできなかったが、その声はどこか悲しく、どこか、諦めたかのような…そんな、声をしていた。
貴『…シスター、祈りを。』
Aの、鎮魂が始まる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふたば(プロフ) - この作品とても面白くて大好きです！夢主ちゃんのスパダリっぷりに思わずキュンキュンしてしまいます笑これからも執筆頑張って下さい✨ (2021年10月25日 0時) (
レス) @page50 id: 4559ad2a7b (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - すごく面白いです！更新頑張ってください！ (2021年9月30日 18時) (レス) @page2 id: cc011a7ffe (このIDを非表示/違反報告)
陸(プロフ) - 色々ありますよね、大丈夫ですよ！ (2021年9月20日 0時) (レス) id: 19eff5b33e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：3度の飯より推しが好き | 作成日時：2021年9月18日 20時
