第25話 謝罪の押し売り ページ26
NOside
貴『……
霧「うん。今日はうちの志帆がAちゃんに酷いこと言ってしまったみたいだから。」
本当にごめんね。
そう言って霧目はAに持ってきた手見上げを渡した。
受け取れませんよとAが拒否をするが受け取ってほしいと霧目も引き下がらない。
貴『むしろこちらが謝罪しなければならない立場なのに…』
霧「君は息子と娘を炎の苦しみから救ってくれたんだ。
君が謝ることだなんて一つもない。」
ですが…とAは口ごもる。
立場的にはAは何も悪くはない。けれど、消えぬ罪悪感だけが尾を引くのだ。
霧「今回のこともそうだけど、あの頃の謝罪も出来なかったからね。これはその時の分も含めてだと思ってほしい。」
貴『それも志帆さんが悪いわけじゃありませんし…』
霧「どんな理由があれ大人が子供に掴みかかって殴るだなんて事、しちゃいけないんだよ。」
だから、ね？と袋を持たせる霧目にこれはもう受け取る以外の選択肢がないと、Aは諦めて霧目の手見上げを受け取った。
霧「今回も志帆が君を殴ったって聞いたよ。顔は大丈夫かい？腫れたりしてないかい？」
貴『もう私は子供じゃないんですから。志帆さん程度のビンタじゃ怪我しませんよ。』
そんな事ないよと霧目は否定するがすぐにでも本当に大きくなったねとAの全身を見つめた。
霧「もうあの頃みたいに屈む必要なくなっちゃたし……なんなら
貴『父の身長は知りませんけど多分同じくらいにはなったと思いますよ。』
本当に大きくなったねぇと親戚のおじさんのように喜ぶ霧目。
Aは笑顔でありがとうございますと答えた。
霧「もうすっかり大人の女性になって………まるで
貴『やっぱり、似てますか？』
少し嬉しそうに尋ねるAに霧目はそっくりだと答える。
ありがとうございますと今度は嬉しそうな笑顔で笑い、でもと少し上を見上げた。
貴『まだまだ母の身長には届きそうにないですね…』
霧「はは、綾果さんの身長になるのは流石に難しいよ」
あの人僕より大きかったんだからと180はあるであろう霧目は笑った。
霧「あぁ、じゃあ、そろそろ時間だから。本当に今日はすまなかったね。」
貴『いえいえ全然。』
それじゃあまた。と第八を去る霧目にさようならと答えてAは彼を見送った。
もう二度と会う機会など来なくていいと扉を閉じて。
第26話 一見はただの昼下がり→←第24話 やさしげな訪問者
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 83人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふたば(プロフ) - この作品とても面白くて大好きです！夢主ちゃんのスパダリっぷりに思わずキュンキュンしてしまいます笑これからも執筆頑張って下さい✨ (2021年10月25日 0時) (
レス) @page50 id: 4559ad2a7b (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - すごく面白いです！更新頑張ってください！ (2021年9月30日 18時) (レス) @page2 id: cc011a7ffe (このIDを非表示/違反報告)
陸(プロフ) - 色々ありますよね、大丈夫ですよ！ (2021年9月20日 0時) (レス) id: 19eff5b33e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：3度の飯より推しが好き | 作成日時：2021年9月18日 20時
