第11話 重い空気で揺れる車内 ページ12
NOside
あまりにも美しすぎる造形品とは、時に人に恐怖を与える。
整った顔の彼女の、整った笑顔はまるで精巧に作られた人形のようで、生きた身体に顔だけ生気のないアンバラスさに、森羅たちは静かに恐怖を覚えた。
それは、森羅とはまた違う、"気持ちの悪い笑み"だった。
車内に、気まずい空気が流れる。
何か話さなければと思うのに、何を言えばいいのか分からない。
暫くの間、静寂が続くと。
桜「大丈夫か、A。」
そう、桜備が口を開いた。
桜備の質問に、Aは表情一つ変えず大丈夫ですよと笑う。
彼女は変わらず冷たい笑顔のまま。
…けれども
貴『…あぁ、いえ…やっぱりあまり大丈夫じゃないです。』
そう言って口元を抑え、今度はすみませんと謝った。
貴『癖なんです。こういう時笑っちゃうの。』
昔から気味悪がられるんですと口元を隠すA。
どうやら先ほど女性が話していたことは本当らしい。
………けれど、それが森羅と同じように、彼女の意志で行われているものでは無いということも分かる。
貴『すみませんね、あんまり気分がいいもんでもないでしょう？
暫くすれば治るんで。』
そう笑う彼女の顔は、どこか苦しそうにも見えた。
桜「………A、辛いならちゃんと言いなさい。」
貴『大丈夫ですよ、慣れてるんで。』
Aのサラリと出たその言葉に、その場が凍りつく。
本人も失敗したと思ったのか、小さな声で間違えたと呟いた。
貴『今の忘れて………くれませんよねぇ…』
俯いて、顔を抑える彼女の素手にはつうっと冷や汗が垂れていた。
貴『………私、昔から疫病神でしてねぇ。よく周りで人体自然発火が起きるんですよ。』
これも、先ほど女性が話していた事と一致する。
どう反応すればいいのか分からず森羅達は押し黙るが、Aは構わず話し続けた。
彼女の志望動機を
貴『私には鎮魂をする力がありました。
………だから、消防隊を待たずによく鎮魂をしてたんです。私の一存で、勝手に人を殺していました。
…でも、たとえそれが勇気のある行動と賞賛されたとしても、誰も私を責めなかったとしても、それは正規の鎮魂ではない。
ただの人殺しです。』
だから、彼女は特殊消防隊を目指した。
自分が正しく
貴『何をしても、鎮魂という行為は人殺しに違いないけれど、せめて、本当のシスターの祈りのある鎮魂を。
それが、私の特殊消防隊への志望動機です。』
ニコリと、彼女は哀しげに笑った。
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ふたば(プロフ) - この作品とても面白くて大好きです！夢主ちゃんのスパダリっぷりに思わずキュンキュンしてしまいます笑これからも執筆頑張って下さい✨ (2021年10月25日 0時) (
レス) @page50 id: 4559ad2a7b (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - すごく面白いです！更新頑張ってください！ (2021年9月30日 18時) (レス) @page2 id: cc011a7ffe (このIDを非表示/違反報告)
陸(プロフ) - 色々ありますよね、大丈夫ですよ！ (2021年9月20日 0時) (レス) id: 19eff5b33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：3度の飯より推しが好き | 作成日時：2021年9月18日 20時
