止められない恋心。 (ページ7)

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「⋯⋯大丈夫じゃ、なさそうですけど」

「そうすか？」

なんて今度はさっきと違ってふわっと笑った彼を見て心の奥が締め付けられたのはこの時は気付いてなかった。

「⋯⋯なんか特に何も無いけどこのままでいいのかなって」

具体的な内容じゃないのに、その言葉に共感しかなくて。

まさに私も思ってたことだったから。

「⋯分かります、わたしも。」

そう言うと「座ります？」とベンチの真ん中に座ってた彼は端に寄って隣を指さした。

軽く頷いて彼の隣に座ると私が持ってるコンビニの袋をじっとみる

「⋯⋯あ、アイス」

食べます？と適当に袋からひとつ渡すといいの？って遠慮がちにアイスを受け取った

「うま！」

そう言って笑った彼を隣で見て、びっくりした。

だってさっきまで死にそうな顔でベンチに項垂れてた人に見えないくらい美味しそうにアイスを頬張ってるから。

「⋯あ、すみません、美味いっすねアイス」

ご馳走様です、なんて言いながらパクパクアイスを食べる彼は偶然公園で拾った子犬みたいだ。

「なんか今一気に元気出てきました」

おねーさんのお陰かもしんないっす、と最後の一口をパクッと口に入れてニコニコする彼

「⋯⋯ならよかったです」

さっき買ったアイスはもう溶けちゃったかもしれない、なんて思いながらベンチを立った

なんか不思議な話だ、こんな夜中に見知らぬ男の子に買ったばかりのアイスを上げて元気にさせた、なんの武勇伝？

「じゃあ、」と軽く頭を下げて公園を後にしようとした時

「⋯⋯⋯⋯待って！！」

と静かな公園に響き渡る声

「え？」

「お礼⋯⋯」

「お礼？」

「お礼しないと、」

んー、あー、えーっと。と何故か言葉を詰まらす

見知らぬ男の子にアイスを上げただけでお礼だなんて、ましてや年下だと思うし、なんだか悪い気がして

「ホントお礼とか大丈夫ですので⋯⋯じゃあ」

そう言って歩き始めると控えめに服の袖を掴まれる

「⋯⋯ライン、教えてください」

「ライン？」

「うん、ラインおしえて」

私と同じくらいの身長なのにきっと無意識であろう上目遣いに急にタメ口になった彼をみて危険を感じたけど。

それにその時の私は気付くはずもなかった

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ラインの友達の欄に「湧」の1文字が追加された日

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