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数分後、本当に彼は私の目の前に姿を表した。
息を切らして｢おつかれさま｣と微笑んだ。
なんでこんな時間まで？とか言わずに、手に持っていたココアの缶を私に差し出しながら微笑んだ。
｢…ありがと｣
｢うん。｣
｢ごめんね、こんな時間に｣
｢なにが？きたくてきたんだよ｣
はは、と笑われ私の横に内村くんも静かに腰掛けた。
きっと部屋着であろう上下スウェットで髪もサラサラに下ろされてる普段見ない内村くんにすこしドキッとする。
｢最近こんな帰りおそいの？｣
｢毎日って訳じゃないけど…業務時間内に終わらないんだよね｣
私の仕事の効率がわるいからさ、と言うとなんとも言えない顔をした彼は。
ほんとに頑張り屋さんなんだから、と私の頭をポンポンする。
そんな彼の行動とか表情とか、全部。
なんだか安心して、優しくて、暖かくて。
色々我慢してたものが溢れ出す、と同時に涙が1粒流れる。
そんな私をみて
｢…Aちゃんが人に頼らない性格なのも、何事も断れない性格なのも、優しすぎるのも全部知ってるから………だから俺にだけは弱み見せてもいいんじゃない？｣
ふわっと肩を抱かれて内村くんの体温に包まれる
｢…頼ってよ、いつでも。話も聞くし、俺にできることはしたい｣
……ほら。やっぱり彼は優しいからこうやって。
私の殻を破ろうとしてくる。
｢…内村くんは｣
｢ん？｣
｢なんでそんな優しいの……｣
.
｢…Aちゃんのことが好きだからしかなくない？｣
私のヒーローはこの人だ。
fin
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作者名：ぴ | 作成日時：2022年5月8日 12時
