168話 ページ29
「38度1分…だと？」
「あんたよくそれで普通に授業受けてたね。すぐ帰りな」
ピピっと鳴った体温計を見て驚愕する。
いやいや、これはない。
「さすがにこれは間違いですよ。もう一回測ります」
「そんだけ高かったら間違いでも熱はあると思うけどね。まあ好きにしな」
許可を得たのでもう一度体温計を脇に挟む。
だって全然辛くないもん。
普通に体育とか受けれそうな感じ。
これで38度もあったら私の平熱がそのくらいなのかなって思うわ。
そしてまたピピっと測定完了の知らせをする体温計を見る。
38度1分。
紛うことなき一緒。
「嘘だろ、私鈍すぎ」
「ほら、やっぱり熱あるんだよ。さっさと帰って寝んさい」
「えー…」
せっかく学校来たのにもう帰るの？
来た意味なかったわ。3時間くらいしかいなかったもん。
あ、でもそういえば課題してなかったし、提出前に帰れるのはありがたいか。
よし、帰ろう。
「荷物持ってきてもらうかい？」
「いや、全然大丈夫です。自分で取りに行きます」
「あんた本当に元気だね、声以外は。じゃあこれ早退届、授業担当の先生に渡すんだよ」
「うっす、ありがとうございます」
「ちゃんと大人しくしとくんだよ」
返事しながら保健室を出て、教室に戻る。
ちょうどさっきの授業が終わって休み時間に入ったとこだった。
「あれ、A結局帰るの？」
「うん、熱あったみたい。移してたらごめんね」
「絶対許さん。見舞いの品のフルーツ盛り合わせを要求する」
「もうちょっと私に優しくしよう、今日特に風邪ひいてるし」
なんなのまじで。
みんな風邪ひいてんのに私に対して酷くないか。
「ハハッ、まあノートは写させてあげるから。安心しな」
「え、ほんと？ありがとう、頼むわ。じゃあ帰ります」
「しっかり寝ろよー」
そう言って荷物を持って教室を出る。
クラスの他の子も心配してくれたり、お大事にーとか言ってくれたりしてちょっと嬉しかった。
クラスメイトの優しさに心温まりながら廊下を歩く。
こんな時間にカバン持ってるってだけで新鮮な感じ。
なかなかないよね。
全然熱の自覚症状がないため、罪悪感も湧いてくるが、滅多にない体験にちょっと足取りが軽くなるのだった。
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まり - めちゃくちゃ面白いです…！一気読みしました。佐倉ちゃんの誕生日が自分と同じでテンション上がりました！ (2021年6月24日 14時) (
レス) id: 477cae400a (このIDを非表示/違反報告)
エルマー(プロフ) - ゆうさん» とても嬉しいです！応援ありがとうございます！頑張ります (2021年5月30日 16時) (レス) id: 340dba18fb (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - いつも楽しく拝見してます、、！続編嬉しいです！完結まで応援してます！！完結しても読み返します！！ (2021年5月22日 11時) (レス) id: 1f46a5e721 (このIDを非表示/違反報告)
エルマー(プロフ) - ハルカさん» コメントありがとうございます。私の好きなタイプの子を書いてるつもりなのでそう言っていただけて嬉しいです！ (2021年5月11日 12時) (レス) id: 340dba18fb (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - こーゆう性格の主人公めっちゃ好き (2021年5月8日 14時) (レス) id: 6f3fd88438 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エルマー | 作成日時：2021年2月11日 7時
