161話 ページ22
えー、ただ今予想外の不幸にあっている佐倉です。
帰り道を歩いていると、突然雨が降り始めた。
その時点では、私の日傘は晴雨兼用なので特に問題なく、余裕をこいていた。
買ったものが濡れないようにだけ気を遣っていた。
が、ここで神様にいじめられているとしか考えられないトラブルに見舞われる。
ちょうど大きな自動車道の下を通っているとき、強風が吹いた。
そのせいで、機能を欲張る代わりに頑丈さを手放した私の日傘は見事に壊れたのだ。それはもうボキボキになった。
というわけで、私は今現在、世にも無残な姿の傘と結局ビショビショになった買い物袋を持って、ずぶ濡れの状態で雄英の敷地に戻ってきたのだった。
もうここまで濡れたら雨を凌ごうとも思わない。急いで帰ろうとかも思わなくなってきた。
帰る途中にコンビニさえも見つからなかったので傘を買うことも諦めた。
というかボロボロの傘を持ってずぶ濡れで店に入る勇気がなかった。
うちのクラスの寮に帰る前にこの可哀想な傘を捨てて帰ろうと思い、ゴミ捨て場に向かう。
今までありがとう、私を日光から守ってくれて。
でもさすがに雨風から守るのは過重労働だったね。過労死させてごめん。
ゴミ捨て場に日傘を置き、そう心の中で念じながら手を合わせた。
さ、傘の弔いも済んだし、帰るか。
そう思い寮の方へと向かっている道中、声をかけられた。
「もしかして、Aか？」
「え」
声の方を向くと、傘をさした轟くんがいた。
あれ、濡れてこそないけどなんかボロボロじゃない？
そう呑気に考えていると、轟くんが若干戸惑いながら私も傘に入れてくれた。
「なんでそんなに濡れてんだ？傘持って出なかったのか？」
「や、持ってたんだけど壊れた。傘入れてくれてありがとう」
「そうなのか、大変だったな」
まあここまで濡れると、大変もなにも思わないんですけどね。
濡れてることに慣れて、もはや水も自分の一部みたいに思い始めるよ。
しかし、夕方になり日も落ちてくると、気温が下がってきて、暑いからと薄着をしていた私は、濡れていることも相まって寒くなってきた。
なので傘に入れてもらえることは、もう寮はすぐそことはいえ、ありがたい。
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まり - めちゃくちゃ面白いです…！一気読みしました。佐倉ちゃんの誕生日が自分と同じでテンション上がりました！ (2021年6月24日 14時) (
レス) id: 477cae400a (このIDを非表示/違反報告)
エルマー(プロフ) - ゆうさん» とても嬉しいです！応援ありがとうございます！頑張ります (2021年5月30日 16時) (レス) id: 340dba18fb (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - いつも楽しく拝見してます、、！続編嬉しいです！完結まで応援してます！！完結しても読み返します！！ (2021年5月22日 11時) (レス) id: 1f46a5e721 (このIDを非表示/違反報告)
エルマー(プロフ) - ハルカさん» コメントありがとうございます。私の好きなタイプの子を書いてるつもりなのでそう言っていただけて嬉しいです！ (2021年5月11日 12時) (レス) id: 340dba18fb (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - こーゆう性格の主人公めっちゃ好き (2021年5月8日 14時) (レス) id: 6f3fd88438 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エルマー | 作成日時：2021年2月11日 7時
