出られない部屋 11 ページ11
*
ねぇ、それってどういうつもりなの。
私のことを面白半分で揶揄ってるだけなら随分な演技力だ。俳優を志望した方がいい。
「……黙ってちゃ、ここから一生出れないよ。俺はそれでもいいけど」
「……っ、こ、答えるから。待って……」
「やだ。待たない」
あつい、あつい。
イドンヒョクの手が熱いのか。私の手が熱いのか。それとも互いの体温が混じり合って熱く溶け出しているのか。
イドンヒョクの真剣な目が、私を追い詰める。私は肉食動物に命乞いをする草食動物の気分だった。
イドンヒョクはもう口を開けて涎を垂らして待っていて、私はイドンヒョクに捕食されようとしてる。
逃して欲しかった。なのに、どうして。
何で、こんなにも、目が離せないんだろうか。
「っ、わ。分かんない……。イ君のこと、遠い人だと思ってたし。それに……、こんなの言われたの、初めてだから」
「……ハァーーーー。……そっか。うん、わかった」
イドンヒョクが笑う。それはいつもクラスで友達に見せているような笑顔じゃなくて、もっと柔らかくて優しい笑顔だった。
こんな顔で笑うのか、と少し驚く。それが自分に向けられているのだから、尚更に。
この笑顔は、いつも連んでる女の子達にも見せない笑顔なのだろうか。私だけなら良いのに、と。傲慢にもそう思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 619人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あき(プロフ) - めちゃくちゃ好きです！！！ありがとうございます！！！！！ (5月2日 13時) (
レス) @page13 id: 52a0eb3ad9 (このIDを非表示/違反報告)
やまぴ(プロフ) - 同人誌のノリ分かる夢主好きですｗｗボイプラも好きなので他作品も読みました！文体すごく好きです！更新楽しみにしてます！ (2023年4月17日 5時) (レス) @page4 id: b2d974e411 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ベロ子 | 作成日時：2022年12月23日 23時
