＊この世で最も美しく、哀しくない話part６＊ (ページ22)

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凍えた身体を、和也が「よいしょ！」と抱き起こす。

和「フ・笑。すげぇ顔してんな」

涙でぐしょぐしょの私の頬を、和也の親指がゴシゴシと拭う。

和「あーあ、ケツも濡れてんじゃん」

私のお尻をパンパン、と和也の掌が軽く叩く。

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和「タクシー乗るか」

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和也が、ん？と言うように私の顔を覗き込む。

和「コンビニでパンツ買う？」

こんな時に濡れたパンツの心配をされている私は、幸せだ。

ずず･･･と鼻を啜りながら「空気椅子でイケる」そう言うと「嘘つけ！笑」と

和也が笑う。

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和「まぁいいや。俺の膝の上に座ればいいか」

･････そんな台詞をサラリと言っちゃう和也。

私は、幸せだ。

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和「ホラ、タクシー拾うぞ」

和也が私の掌を握る。

私が差し出した手をぎゅう･･と和也の指が握る。

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和「あ、オツカレサマでーーす」

後ろで事のなりゆきを唖然とした顔で見守っていた女の子に、

和也がサラリと言う。

「え！あ･･あ、あ、お疲れ･･様です･･」

女の子は大きく目を見開いたまま、私を上から下まで見てる。

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和「これ、うちの奥さん」

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和也の言葉に、女の子の目がもっともっと大きく見開かれて

「えーーーーー！！？？え！？え！？二宮さん、結婚したんですか！？」

大きな声が背中で聞こえた。

和「ずいぶん前にしてる」

「えーーーー！？え！？本当に！？」

和也は「声デカッ！」と笑い、女の子に「じゃあね～」と言いながら

私の手を握って歩いていく。

私が慌てて女の子にペコリと頭を下げると、女の子も「あ！あ、さよなら」と

ペコリと頭を下げた。