一体全体 ページ2
「あの、人身御供とは一体？」
この異様な雰囲気の中で､よく声を出せたな
我ながら良くやったと
自分の行動を自画自賛する。
「簡単に言うと、今年の生贄はAになった、という事だ。」
村長がそう伝えてくるも、
いまいちピンとこない。
「あの、村で一番の美人を選ぶんですよね？
私で大丈夫ですか、稲荷様怒りません？」
純粋な疑問だ、こんなガサツで美人でもない女を送り込んで本当に大丈夫なのか
「その事なら心配ない、何故なら稲荷様がお前を指名したのだからな」
いや、ちょっと待て。私はキャバ嬢か何かじゃないのだから指名制なんてありなのか、やはりここは神様なだけあってなんでもありなのか。
まぁ指名された事に文句はさほど無いけれど、
もう少しだけ青春を謳歌したかったなと
思いつつ、社の天井を見上げた。
しかし、何かが引っかかるのだ
「村長､それなら何故私以外の者も呼び寄せたのですか？」
「それはだな、ガサツな女だから
いつ稲荷様の気が変わってもいいように、と…」
私から目を逸らしながら村長は言った｡
まぁ、結局最後まで指名の通達は来なかったから最終的に私が選ばれる事となったらしい｡
そこまでの話を聞いてわたしは深いため息をついた。
「私が選ばれたからには行きますが､村長､
先程の言葉をよーく覚えておいてくださいね？」
にこりと微笑みかけると村長は肩を震わせた。
失敬な、私がそんなに怖いか全く。
「ところで村長､このままでは村の者達が可哀想ではないですか？そろそろ帰らせた方が良いのでは…」
「あ、あぁそうだな。皆の者御苦労だった。
では解散」
次第に人が少なくなり、やがて誰も居なくなった時村長の目から涙が落ちた。
「すまん、すまんなぁA｡守ってやれんかった…｡
親御さんにも約束したのになぁ…」
震える声で話しながら私の手を包み込むしわの増えた柔らかな手｡その温度に触れながら､
そっと口を開いた。
「泣かないでよ村長､別に気にしてないから。
親だってさ、こうなるのは多分上から見てたしわかってたでしょ」
だから大丈夫だと言おうとしたところで、
違和感に気づいた。誰かがこちらを見ている、そう感じた私は襖の隙間に目を向けた。
「A､どうした…？」
村長が顔を強ばらせる｡
「何かがいるんです、今、誰かが私を見ていました」
体が竦んだ瞬間、狐の鳴き声が辺りに響いた。
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来夏_raika(プロフ) - 心愛さん» コメントありがとうございます！更新頻度はかなりゆっくりめですが楽しんで頂ければ幸いです〜！これからもこの作品をどうぞ宜しくお願い致します；； (2018年12月5日 21時) (
レス) id: 4db2d60ea2 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - 更新楽しみに待ってます！ (2018年12月4日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：raika | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/seyu/
作成日時：2018年8月26日 23時
