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Aside
『あんまり思いつめちゃダメだよ?』
「うん、大丈夫。本当にありがとう」
『ん、気持ちが軽くなったならよかった。じゃあ、おやすみなさい』
「うん、おやすみ」
そう言って電話をきる。
…30分以上喋っちゃった。明日も仕事だろうのに、申し訳ないことしたな。
あ、でも、カフェのオープン時間って結構遅かったよね。うん、私ほどは朝早くないはず。
着替えすらしていないし、とりあえずお風呂に入ろう。
鏡に映る私は昨日と同じように赤い目をしていて、それがなんだか少し、お化粧をしたときのセンラさんの目元と似ていて、胸がきゅっと締め付けられた。
あんな綺麗な赤じゃないけどね。
*
お風呂あがり、スマホに通知がきていたので確認すると、少し前にセンラさんの歌枠が始まっていた。
今日はごちゃごちゃと考えすぎて、あんまりお話出来なかったから……ちょっとだけ、声聞かせてもらおう。
「んー、なんかうまく歌えへん……。
立ってだとちゃんと歌えるんですけどね、座ってだと声が伸びひんなぁ……」
やっぱり落ち着くなぁ、と思ったのはほんの少しだけで、すぐにセンラさんが悩んでいることに気が向いた。
折原さん、最近うまく歌えてないのかな…。
Twitterのタイムラインを流し見すると、FFのセンラーさんが「センラさん最近歌いにくそう」だとか「お仕事忙しくて疲れ溜まってるのかな」とかいうツイートをしていた。
昨日はめちゃくちゃ忙しかったのにも関わらず、坂田さんのバッジ探させちゃったんですごめんなさい。
全センラーに土下座する思いでスクロールしていく。
「ちょっと今日はこの辺にしときます。次回までに座って歌うの練習しとくわ」
あ、もう終わっちゃうんだ……でも、お疲れなら早く休んだ方がいいもんね。
座って歌う練習って、お家で一人でするのかな。
カラオケとか、誘ったら一緒にいってくれるかもしれない。
いやいやいやいやいや、なんて図々しいこと考えてんの!
折原さんはセンラさんなんだから!
そんな人とカラオケとか全センラーに刺されるって!!
なんて一人で騒いでいると、突然部長からメールが届いた。
な、何かやらしたかな…。
不安を感じながら恐る恐る開くと、それは想像とは全く違う内容だった。
「……嘘」
なんてタイミングなんだろう。
でも、ある意味ベストタイミングなのかもしれない。
これなら、折原さんへの気持ちに蓋をすることができるよね。
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響 - これからも頑張ってください!長文失礼しました。(続きです。初めてこんなにコメント書きました(笑)) (2022年3月2日 17時) (レス) id: 7b474202c0 (このIDを非表示/違反報告)
響 - 日替わりのほうで予告を見て読ませていただきました!語彙力ないのでうまく伝えられるかわかりませんが一つ一つのお話がしっかりしていて話の展開も全然急じゃないのに飽きなくてすっごくいい作品でした!個人的には番外編の志麻さんが出てくるお話が好きです(笑) (2022年3月2日 17時) (レス) @page44 id: 7b474202c0 (このIDを非表示/違反報告)
坂ちゃん(プロフ) - やばい。すげぇ似てる。私、恋人いるんですけど、坂田家なんです。その上恋人の好きな色は黄色... (2018年12月24日 11時) (レス) id: 2e3d2564c8 (このIDを非表示/違反報告)
せらてゃ - 全て読ませて頂きました!!小説読んでて初めて笑いましたwwおもしろいとこがたくさんあって笑っちゃいましたwもうかわいかったです!!これからも頑張ってください(><) (2018年11月25日 1時) (レス) id: 838c277702 (このIDを非表示/違反報告)
ほわいとふぃっしゅ(プロフ) - つぼみさん» そのように言っていただけて本当に嬉しいです……。少し先になってしまうのですが、坂田さんの短編を書かせて頂きたいなとは思っているので、気長にお待ちください!! (2018年10月29日 18時) (レス) id: b3ad7ee62f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほわいとふぃっしゅ | 作成日時:2018年9月8日 22時