＊ ページ34
Aside
「！？！？」
変な声を出し、数歩後ずさる。
さ、さか、坂田さんの綺麗なお顔が、め、目の前、にっ……。
パクパクと口を動かす私に向かって、坂田さんはトドメをさすかのようにこう言った。
「…Aちゃんって、センラにはもったいないくらい可愛いんやね」
一瞬、全世界から音がなくなったかと思った。
推しに、最推しに、可愛いと言われてしまった。
お世辞だろうし私をからかっているのだろうけど、どうしても心臓はうるさく反応してしまう。
「さかた、さ」
少し離れたところにいる彼の名前を呼んだ時だった。
「Aは俺のや言うとるやんかぼけぇぇぇ！！」
息を切らした千羅くんが間に割り込んできたのは。
「千羅、くん」
「頼むから手ぇ出さんといてってこの前言うたやん！！」
千羅くんは誰が見ても明らかなくらい、強く坂田さんを睨みつけている。
それを見た坂田さんは大層楽しそうに笑った。
「ごめんって、こんなに近くで坂田家の子と関われることないからさぁ……許して、な？」
おちゃめに手を合わせる坂田さんとは対照的に、私は深く頭を下げる。
「千羅くん、ごめんなさい……その、坂田さんが来て、舞い上がっちゃって……」
推しだと知っていても、自分の彼女が他の男にドキドキしていると知って嬉しい男の人なんかいるわけない。
いくら優しい千羅くんでも、少し傷ついたよ……ね。
「……Aは、坂田と俺、どっちが好きなん」
「え？」
唐突な質問に思わず目を丸くしてしまう。
どっちが、好き……？そんなの
「千羅くんに、決まってるじゃん。坂田さんへの好きは、ファンとしてだもん」
そう答えると千羅くんは満足気に微笑んだ。
「ん、ならよーし！
じゃあ俺着替えてくるから、A晩御飯の用意頼んでもええかな」
「うん、任せて」
なんだかまるで新婚さんみたいなやり取りに、胸が少しあたたかくなった。
×××××××
「俺完全に空気やん」
「そんなの知らへんわ。ってか………A、どんな反応しとった？」
「んー、可愛い反応？」
「お前まじなんなん！？」
「ほんま、随分ベタ惚れなんやね」
「………そりゃあ、大好きな彼女ですから」
(気づいてないんやろうけど、センラ……お前今、めちゃくちゃ幸せそうな顔しとるんやで)
キッチンからは、美味しそうな香りが漂っている。
その香りを作っている彼女に、彼らの声は聞こえていないようだった。
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響 - これからも頑張ってください！長文失礼しました。（続きです。初めてこんなにコメント書きました(笑)） (2022年3月2日 17時) (
レス) id: 7b474202c0 (このIDを非表示/違反報告)
響 - 日替わりのほうで予告を見て読ませていただきました！語彙力ないのでうまく伝えられるかわかりませんが一つ一つのお話がしっかりしていて話の展開も全然急じゃないのに飽きなくてすっごくいい作品でした！個人的には番外編の志麻さんが出てくるお話が好きです（笑） (2022年3月2日 17時) (レス) @page44 id: 7b474202c0 (このIDを非表示/違反報告)
坂ちゃん(プロフ) - やばい。すげぇ似てる。私、恋人いるんですけど、坂田家なんです。その上恋人の好きな色は黄色... (2018年12月24日 11時) (レス) id: 2e3d2564c8 (このIDを非表示/違反報告)
せらてゃ - 全て読ませて頂きました！！小説読んでて初めて笑いましたwwおもしろいとこがたくさんあって笑っちゃいましたwもうかわいかったです！！これからも頑張ってください（＞＜） (2018年11月25日 1時) (レス) id: 838c277702 (このIDを非表示/違反報告)
ほわいとふぃっしゅ(プロフ) - つぼみさん» そのように言っていただけて本当に嬉しいです……。少し先になってしまうのですが、坂田さんの短編を書かせて頂きたいなとは思っているので、気長にお待ちください！！ (2018年10月29日 18時) (レス) id: b3ad7ee62f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほわいとふぃっしゅ | 作成日時：2018年9月8日 22時
