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別にさ…
何か変な期待とかしてた訳じゃないよ?
ただ、さすがにあんな事されたらドキドキするじゃん?
だから、ちょっと
身構えて行ったのにさ…
「おい」
「はぃ…」
「ここ間違ってんだけど」
「はぃ…」
「ねえ、これで何回目」
「はぁ…」
「はいとはぁしか言えないのか?」
ひぃぃいいっ!!!
怒る所、そこ!?
先生はソファの下に座っている私を
鬼のような形相で睨み上げた。
現在、夜の八時半
私はさっき言われたとおり先生の部屋に居ます。
最初は緊張しててすっごく身構えていた私。
なのに…。
「この公式頭に入れとけって言ったじゃん。」
「は、はぁ…」
三十分後にはスパルタになってました。
「はぁ〜あ」
先生は脱力すると
ソファの背もたれに寄りかかる。
私はとりあえず
後に居る鬼を少しでも怒らせないように
数学の公式を無理やり頭に詰め込む。
ていうかっ!!
何で私がこんなにびくびくしないといけない訳!?
…って思うけど
如何せんテストの点数が衝撃的なので
ここは素直に従っておく事にしよう…。うん。
何よりも怒り出すと怖いし…?
「お前さぁ、
他の教科は全然成績良いくせにどうして俺の数学だけ悪いんだよ〜」
「数学だけじゃないです。物理もダメです。」
私は少しでも方程式を覚えようと、
ノートを見ながら口を開く。
全くもって集中できないけれど…。
「何、自慢げに言ってんだよ…」
顔が見えないからわからないけれど
たぶん声色から呆れた顔が想像できる。
「別にそういう訳じゃないですけど
何か、数学って見てるだけで
頭がおかしくなりそうで…。
数字とか英語?が
びっしり並んでるんですよ!?」
「そんなん、現文とか英語も同じじゃねぇ?
文字一杯並んでんじゃん…。」
「それは日本語です…。
英語は英語だけしか書いてないです…。」
「い、意味わかんねぇ〜。
お前の理屈全然わかんないんだけど…」
「わかってもらおうなんて思ってません」
先生はガラステーブルの上にある
私のノートの横から煙草の箱を手に取る。
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