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結局、朝方になるまでウトウトはしていたけれどほとんど眠る事はできなくて、学校へ行かない訳にもいかないので時間通りにマンションを出た。
先生から、何か言ってくる事はなく、マンションを出る時に鉢合わせをする事もなかった。
当たり前の事だけれど、間違えられてキスをされた上に"大嫌い"宣言をしてしまった私は気まずくてしょうがない。
だから、顔を合わせないのは私にとって好都合だった。
とりあえず、学校では先生の事を忘れていつも通りに一日を過ごそう。
ちょうど、今日は水城先生の授業もないから安心して受けられる。
それに、睡眠不足の所為か体がダルい。
だから、席で静かに過ごそう…。
そう思って、席に着いたのに…
「Aちゃんっ!!!どうしたのっ!!?」
学校に着いて早々、嵐がやってきた。
「あき…」
私は、げんなりしながら目の前に居るあきを見つめた。
私に近づくなり大きな声で言葉を発するから頭がガンガンする。
流石にちょっとイラっとした。
「なんだか、あんまり顔色良くないよ?」
あきは、そのくりくりした大きな目で私の顔を覗きこむ。
その目は明らかに心配そうだったので、あきにイラっとしてしまった事をさり気なく心の中で謝っておいた。
「うん。ちょっと昨日あんまり眠れなかったんだ」
「あんまり無理しないようにね?」
私の事を気にしてくれているのが手に取るようにわかって、嬉しかったけれど、迷惑はかけられないので"うん"とだけ頷いて、他の事は何も喋らなかった。
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