【アカギ】神出鬼没の。

墓穴 ページ48

アカギさんは不思議そうな顔でオレを見た。

「どうって……

街で頻繁に会うただの学生…」


サヤさんもオレも、一気にがくりと項垂れる。


「…そ、そういうんじゃなくってもっと…」


「…？」


言葉で説明しようにも、アカギさんはまるで子どものように会話が成り立たない。


「……はあ、…例えばですよ……

Aさんと今まで一緒に居た中で、何か、いつもの自分じゃないみたいな感覚…ありました？

ドキドキするとか…もっと話したいとか…」


ここまで話して、なぜオレが恋敵にこんな説明をしているのだろうと不思議に思った。

が、アカギさんがこんな様子じゃ恋敵とも言いづらい。


「………ないな」


二秒考えて、ずばりと言い切る。


待っていた、この言葉っ…！


「ひろ…気持ちはわかるけどガッツポーズやめなさい…」

「あ…すみません…」

サヤさんに言われて、手を引っ込める。



「…兎にも角にも、アカギさんには分からない話なんじゃないですか！？

アカギさんは今のところAに惚れてる様子はない…それならそれで解決です！」

「ちょっと無理やり過ぎない？」

「いいんです！」


アカギさんはケラケラと笑い、

「…ま、今までの２人よりかはマシな回答だ

ひろがそう言うんならそういう事だろう」

とだけ言うと、ベランダへ出て一人タバコを吸っていた。


「…ひろもなかなか強引ね」

「アカギさん相手ですよ…なんのこれしき」


あとは自分に気を向かせるだけだと気合を入れる。


しかしサヤは忘れていなかった。
もう一人の恋敵。
カイジの存在を。

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