先輩の、となり。２

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4月になって、私は二年生になった。

先輩は三年生。受験生。

クラス替えがあって、奇跡的に麻美と太輔と同じクラスだった。

「また同じクラス、やったねー！」

麻美と喜びあう。

「太輔、どう？元気？」

麻美も太輔のことはすごく心配してた。

「わかんない。今ギプスしてるから動かしたらだめで部活にも来てないし」

麻美と教室に行くと、太輔は窓際の席で友達と喋って笑ってた。

私と麻美に気づいた太輔が、こっちを見た。

「よ。同じクラスだな」

「うん。よろしく」

「麻美も。久しぶりじゃん、元気？」

「こっちのセリフ。腕、どう？」

「ギプスしてるからよくわかんない。
今日部活に顔出そうかな」

「ほんと？みんな喜ぶよ」

放課後、野球部のグラウンドに太輔と向かうと、何やら人だかり。

「どうしたんだろ？」

キャプテンとマネージャーの先輩が、私と太輔を見てやばいって顔をする。

「ちょっと藤ヶ谷、今来ない方が」

ん？なんで？

私と太輔が顔を見合わせてると。

人だかりが一斉にこっちに向かって走ってきた。

「藤ヶ谷先輩！甲子園残念でしたね！」
「あの、私マネージャー志望なんです！」
「あ、ずるい！私もです！」
「私もです！」

すごい数の女の子がすごい勢いでまくしたてるから、太輔が面食らってる。

私がそうっと横から逃げようとしたら、腕をつかまれた。

「マネージャー志望してくれてありがとう。
この人マネージャーだから詳しいこと聞いてね」

爽やかに丸投げしてきた！

一斉に視線がこっちに向く。

「あ…マネージャーの2年のAAです」

「よろしくお願いします！」
「A先輩、いろいろ教えてほしいです！」

私が女の子たちに囲まれている間に、太輔はさっさと行ってしまった。


部員たちが太輔のとこに走ってくる。

「太輔！」

「やっと顔出したな」
「早く一緒に野球やろうぜ」

太輔も笑ってる。

もう、大丈夫なのかな。

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